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日本大学病院

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ニュースレター

2024年3月号

膀胱癌(尿路上皮癌)の診断と治療について

日本大学病院泌尿器科科長の山口 健哉です。常々患者さんを御紹介いただきありがとうございます。

 

本日は膀胱癌(尿路上皮癌)について、診断および治療に関するわれわれの取り組みを御紹介したいと思います。

   診断

膀胱癌の患者さんで、初診時に最も多い主訴は「無症候性肉眼的血尿」です。典型的には「朝トイレに行って排尿したら、真っ赤な尿が出てビックリした。」というような訴えになります。膀胱癌の誘因には、喫煙、50歳以上男性、発がん物質への暴露(職業性膀胱癌)遺伝的要因(膀胱癌の親子兄弟での罹患リスクは約 1.7 倍)等があります。さてこのような訴えを聞いたとき、我々が行うのは膀胱尿道ファイバースコピー、尿細胞診およびCTウログラフィー(3相造影尿路CT)です。これらにより腫瘍のあるなしと局在(腎盂か尿管か膀胱か)を決定します。腫瘍のある場合にはMRIを用いて筋層非浸潤性か浸潤性のどちらが疑わしいか調べます。

   治療

治療は膀胱癌の場合と、腎盂尿管癌の場合で異なり、さらに転移の有無で異なります。

   筋層非浸潤性膀胱癌

まず経尿道的膀胱腫瘍切除術を行い、切除縁をとって腫瘍を切除します。この際筋層生検を行い、筋層浸潤のないことを病理学的にも確認します。完全切除の場合でも再発率が高いのでBCG膀胱内注入療法など、再発抑制の治療を外来で行います。

   筋層浸潤性膀胱癌

まず経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。筋層生検で筋層浸潤が確認されたら、根本療法は膀胱全摘除術です。このように膀胱癌では筋層浸潤の有無で治療が大きく異なります。

   腎盂尿管癌

根本療法は片側の腎尿管全摘です。

   転移のある場合と根本療法後の異時性再発

基本はGC(ゲムシタビン+シスプラチン)療法です。4サイクルで増悪でなければ免疫腫瘍薬アベルマブへ移行します。増悪すれば免疫腫瘍薬ペムブロリズマブを用います。いずれも進行したら、有糸分裂停止効果を持つ抗体薬(エンホルツマブ ベドチン)を用います。

以上、いずれも当科で行う治療です。

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