アピアランスケア シリーズ第1弾 「アピアランスケアについて」
【アピアランスケアとは】
アピアランス(appearance)とは英語で「外見」を示す言葉で、アピアランスケアとは、抗がん剤治療などによる、がん患者さんの外見に関する諸問題を医学的・技術的・心理社会的に支援をすることです。乳がん治療中の女性が、苦痛に感じることのほとんどが外見に関する悩みであり、外見に関するサポートも重要であることが言われるようになり、国立がん研究センターが中心になった研究班によりアピアランスケアという造語が日本で作られました。2016年8月に『がん患者に対するアピアランスケアの手引き』が出版され、2018年には厚労省が第3期がん対策推進基本計画にアピアランスケアの課題が取り上げられ、2021年10月には『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン』が出版されました。ガイドラインは43項目から構成され、内容は多岐に渡りますが、長い間、外見に現れる副作用は医療の中では直接生命にかかわらないことから軽視されてきましたが、それらに対する患者さんをサポートすることが沢山記載されています。現在、抗がん剤治療中でも支持療法が良くなったことで、嘔気が少なくなり外出する機会が増え、患者さんは周りの人や社会と関りを持つことが多くなりました。外見に関する悩みも増える状況ですが、これに対して外見のケアをするのがアピアランスケアです。外見(アピアランス)は内面のいちばん外側と言われるように、見た目の変化は、心の変化にもつながると思います。
【乳がん患者の‶女性らしさ、自分らしさ″を支えるアピアランスケア】
という演題名で、2023年6月30日に横浜で開催された第31回日本乳癌学会学術総会のランチョンセミナーで、ニチバンの共催のもと講演させて頂きました。当日は、会場は満席で、立ち見の人も沢山いて、会場内に入れない人がでるほど、日本乳癌学会でもアピアランスケアの注目度の高さが伺える講演会となりました。
【当科で力を入れているアピアランスケア】
今回は、アピアランスケアの概要についてお話ししましたが、今後のニュースレターでのアピアランスケアのシリーズでは、当科で特に力を入れいてるアピアランスケアについて書いていきたいと考えています。シリーズ第2弾では頭皮冷却装置による抗がん剤脱毛予防法、第3弾では乳がん術後の傷あとケアテープ、第4弾では抗がん剤による眉脱毛に対してのアートメイク、第5弾では新たなアピアランスケアとしての上腕CVポートを予定しています。
アピアランスケアを皆様に知ってもらい、アピアランスケアを通じて乳がん患者さまが少しでも笑顔になってもらえるように今後も尽力していきたいと思います。