セメント注入型椎弓根スクリューについて
平素より整形外科センターに患者さまをご紹介いただき、まことにありがとうございます。整形外科センター長の上井 浩(うえい ひろし)です。今回はセメント注入型椎弓根スクリュー(fenestrated pedicle screws)を紹介させていただきます。
当院ではセメント注入型椎弓根スクリューシステム(Expedium Verse Fenestrated Screw システム®)を2023年から導入を始めました。このスクリューは中空構造になっており、シャフト先端付近に横穴を有しております(図A)。スクリュー挿入後に中空構造と横穴を通じて骨セメントを椎体内に注入します(図B,C)。従来型椎弓根スクリューと比べて固定力が強いため、スクリューの緩みのリスクが低減できます。特に骨粗鬆症の患者さんにおいては再処置率が減少することが期待できます。また、このデバイスを使用することの利点は固定力が増加することによって、脊椎固定の範囲を短縮することも期待できることです(図D)。長範囲の脊椎を固定することによって起こる弊害である固定隣接椎体骨折(こていりんせつついたいこっせつ)の予防も期待されます。本邦でも導入が始まって間もないですが、今後は広く普及することが予想されます。すべての骨粗鬆症性脊椎疾患に適応があるわけではないのですが、骨粗鬆性脊椎椎体骨折の手術適応があると診断された患者さんには、ぜひ御相談のために来院されることをお勧め致します。
当整形外科センターでは最新の機器による手術を提供し、患者様の健康管理の一翼を担えるように全力で取り組んでいきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。