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乳腺嚢胞 にゅうせんのうほう

乳腺のう胞は、乳管内部に水分が溜まることが原因とされています。通常、乳房内で作られた乳汁などの水分は乳管を通じて乳頭から体外へ分泌されるのですが、水分が体内に溜まってしまうことがあります。この水分を溜め込んだ袋状のしこりをのう胞と呼びます。一般的に乳腺のう胞は良性であることが多く、袋の中身はただの水分です。そのため、治療の必要はありません。


■乳腺のう胞の原因の多くは乳腺症

乳腺のう胞は、乳房に起こる良性の変化の総称である、乳腺症との一種とされています。乳腺症になった結果、乳腺のう胞も発症するケースが多いことから、乳腺のう胞の原因のひとつは乳腺症であると考えられています。

乳腺症を発症する原因やメカニズムはまだ明らかになっていませんが、卵巣ホルモン(エストロゲン)の不均衡が影響していると考えられています。乳腺症と乳腺のう胞の症状は非常によく似ており、乳房内にしこりのようなものができたり、圧迫されたような痛みを感じたりすることがあります。いずれも良性なので治療の必要はありません。

ちなみに、乳腺のう胞は乳管内に水分が溜まることで発症しますが、授乳時に母乳の分泌量が少なかったからといって発症することはありません。


■のう胞が増えてもガン化の心配はない

のう胞の原因となる乳房内の水分は、常に増えたり減ったりをくり返しています。そのため、のう胞が大きくなったり、数が増えたりすることはよくあることです。症状が悪化しているわけではないので心配する必要はありません。

また、乳腺のう胞は正常な組織と水分からできている良性のしこりです。放っておいたからといって悪性に変わり、がん化する恐れはありません。

ただし、のう胞内にしこりがある場合や、超音波検査の際に「腫瘍性病変(しゅようせいびょうへん)がある」と指摘された場合は、良性の乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)か、頻度は少ないものの、のう胞内がんの可能性があります。この場合は、のう胞内に溜まった水分を採取し、がん細胞の有無を調べる細胞診を行う必要があります。


■のう胞が気になる場合、針で潰すことも可能

乳房の痛みが気になる場合や、しこりによる圧迫感を強く感じる場合には、乳房に針を刺して、のう胞の中に溜まっている水分を吸引する処置を行うことも可能です。

使われる針の太さは、採血の際に使われる注射針の太さと同じ程度のもので、処置にともなう痛みも採血時と同じ程度です。ただし、乳輪付近に針を刺す場合には痛みが増大する可能性もあります。

麻酔も使いませんし、入院の必要もありませんから、比較的簡単な処置と言えます。

のう胞内の水分を吸引すれば、一次的に痛みや圧迫感は軽減されますが、これは完治したという意味ではありません。なぜなら、水分を溜め込んでいた袋自体は取り除くことができないため、袋の中に再び水分が溜まれば、のう胞は再発する可能性があるのです。現在のところ、のう胞の発生を予防する方法や、のう胞自体を消滅させる薬はないため、経過観察の他に治療法はありません。


ヘルスケア情報サイト「ヘルスケア大学」

監修 女性医療クリニック・LUNAグループ 小関淳 より引用


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