当院で心筋シンチと同様に多く実施している検査が心臓CT検査です。心臓の撮影に最適な320列CTを用いており、従来のカテーテルを用いた冠動脈造影検査(かんどうみゃくぞうえいけんさ)に代わって短時間で鮮明な心臓の3次元画像を撮影することができます。造影剤使用量やX線被ばく量は標準的な64列CTを用いた場合と比べて約30%以上減少しています。
狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)の原因は, 血液のポンプ機能を担っている心臓の筋肉に血液や栄養を送る冠動脈(かんどうみゃく)とよばれる血管(画像1, 2)に動脈硬化(どうみゃくこうか)がおきることによって、血管が細くなったり詰まったりしてしまうことにあります。心臓CT検査は、主に狭心症が疑われる患者さんの心臓の冠動脈に動脈硬化があるかを調べるのに適しています。また、心臓CT検査で冠動脈に病変がないことが分かればそれ以上追加の検査は必要ないことが知られています。
運動時に胸の痛みを自覚し, 休むと自然に治まる典型的な狭心症の症状を訴えた患者さんの冠動脈CT画像では, 冠動脈が細くなり, 血管のまわりにプラークと呼ばれる動脈硬化による変化が見えます(画像3)。また、冠動脈の動脈硬化が高度になると、CTの画像では石灰化(せっかいか)と呼ばれる特に固くなった血管の部位が白くなって見えます(画像4)。
狭心症の診断の他にも、心臓CT検査は、カテーテルや手術による狭心症の治療後の冠動脈の評価にも用いられます(画像5)。さらに、TAVI(タビ)と呼ばれるカテーテルによる弁膜症(大動脈弁狭窄症)の治療前診断やカテーテルアブレーションという不整脈の治療前評価および安全な治療の補助としても多面的に活用されています。
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(画像4)
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