■乳腺炎の種類
乳腺炎には、急性のものと慢性のものがあります。2つの中でも激しく症状のでる急性乳腺炎には、その原因によって以下の2種類があります。
●急性うっ滞性乳腺炎(急性停滞性乳腺炎)
母乳が乳腺内に溜まることで発症します。乳房の腫れや痛み、熱感を引き起こします。初産婦に多くみられる乳腺炎です。
●急性化膿性乳腺炎
乳管から細菌に感染することで乳腺が炎症を起こすことで発症します。乳房が赤くはれて痛んだり、高熱を引き起こすこともあります。
■乳腺炎の原因と症状
●急性うっ滞性乳腺炎(急性停滞性乳腺炎)
出産後に乳汁が乳房に溜まり(うっ滞)、炎症を起こします。とくに初産の際に多く見られ、母乳の通り道である乳管が十分に開いていない、赤ちゃんが母乳を飲む力が弱いなどの理由で乳汁が溜まりがちになります。主に、出産後数日の間に症状があらわれます。
引き起こされる症状としては、乳房全体の腫れや赤み、痛み、熱感、しこりなどがあります。授乳中に痛みをともないますが、授乳をやめるとさらに乳汁がたまって痛みが増すとされています。
●急性化膿性乳腺炎
乳管や乳頭にできた傷から細菌(連鎖球菌や黄色ブドウ球菌など)が感染して炎症が起こります。急性うっ滞性乳腺炎が誘因になることもあります。
症状としては、乳房が赤く腫れ上がったり、強い痛みが生じたりします。しこりを感じることもあります。また、高熱が出て、悪寒や震えをともなう高熱が出ることもあります。さらに、腋窩(えきか)リンパ節まで腫れや痛みが広がる場合もあります。
■乳腺炎と陥没乳首の関係とは?
陥没乳頭は、バストの成長に乳管の成長が追いつかず、先端にある乳首が内側に引きこまれてしまうことが原因のひとつとなって起こります。
その他にも乳首を支える線維組織が生まれつき未発達だった場合や、線維の癒着が起きたことで乳首が内側へ引き込まれるなど、さまざまな原因があると言われています。
日常生活に支障が出るようなものではありませんが、重度の場合には乳腺炎を起こしやすくなったり、赤ちゃんへの授乳が難しくなったりします。悩みが深い場合には、手術で改善することも検討した方がよいでしょう。
■乳腺炎の治療方法
乳腺炎の治療は、炎症の度合いによって、以下のように対処します。
●急性うっ滞性乳腺炎が原因の場合
軽度な場合は、バランスのいい食事と十分な休息、乳房を温めながらゆっくりとマッサージをしながら授乳を続ければ、自然に回復することもあります。積極的に授乳し、赤ちゃんが飲み切れずに余ったら搾乳するなどして、乳房の中に乳汁が溜まらないようにしましょう。
●急性化膿性乳腺炎が原因の場合
授乳をやめて、抗生物質や解熱鎮痛剤による治療を行います。炎症が持続して重症化したり、乳腺内に膿が溜まる乳腺膿瘍、または乳輪下膿瘍になった場合は、切開して膿を出す処置が必要な場合もあります。
乳腺炎は、母親本人が腫れや痛みでつらいのはもちろん、症状が重くなると治療で授乳を中止しなければならない可能性があるため、赤ちゃんにとっても好ましくない状況になってしまいます。できるだけ軽度な状態のうちに専門家に診てもらって対処し、悪化しないように心がけましょう。
ヘルスケア情報サイト「ヘルスケア大学」
監修 女性医療クリニック・LUNAグループ 小関淳 より引用