2019年12月に中国武漢で世界一例目の感染が報告されて以降、瞬く間に世界中に感染拡大し、猛威を振るった新型コロナウイルスによる感染も、ようやく終わりを告げようとしています。コロナ感染による影響は、医療の現場のみならず、世界全体に暗い影を落とし、私たちの生活にも大きな変化が起きています。当院でも院内感染の防御を行いながら、千代田区の患者さんを中心にコロナ診療を行ってきました。そのため近隣の医療機関の先生方や地域の皆様へ多大なるご迷惑をお掛けすることもありましたが、変わらずご支援と協力をいただきましたことに感謝しています。
今回は直近の消化器病センターの取り組みについてご紹介したいと思います。日本大学病院では2014年の新病院開院に伴い、消化器内科と消化器外科が合同となり、消化器病センターを開設しました。我々日本大学病院消化器病センターでは、内科と外科で協力し連携を密にとることで、患者さんに適切な医療を提供することを目指しています。
消化器病センターでは、消化管、肝胆膵疾患に対し、内科、外科ともに各分野の専門家を配置しています。内科では最新機器の内視鏡や超音波を用いた診断と治療を行い、外科では腹腔鏡を用いた手術や化学療法を担当しています。
がんで亡くなる日本人は増加しつつあり、最近のデータでは日本人の30%は癌で亡くなります。当センターでも受診者の皆様に適切ながん診療を提供できるよう、努力しています。内科での消化器がんに対する内視鏡治療や肝癌に対するカテーテル治療、外科による腹腔鏡手術の他、化学療法にも積極的に取り組んでいます。消化器外科の山下教授が赴任して以降は、胃がんに対する先端治療も導入され、以前よりも治療の選択肢が広がりつつあります。
また、がん診療の一環として院内でがん治療をサポートするチームを設置しています。医師の他、がん治療に対する専門の看護師や薬剤師などと一緒に、がん治療をする患者さん、ご家族のさまざまな症状や悩みのサポートを行っています。化学療法前には薬剤師も交え、治療の説明を行って不安の軽減に努めたり、治療とともに発生する痛みの治療も並行して行うなど、患者さんがつらくない医療を目指しています。また、通院以外にも自宅での在宅診療の希望のある方には、担当のソーシャルワーカーと相談しながら自宅での治療や看護へのサポートも行っています。