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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2024年1月号

当院におけるIPMN診療について

膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm:IPMN)とは膵腫瘍の1つで、膵管の中に乳頭状に増殖し、粘液を産生することで嚢胞を作る腫瘍です。多くは無症状であり、人間ドックや他疾患で施行したCT検査やMRI検査で偶然発見されることが多い疾患です。

比較的予後の良い腫瘍ですが、由来型膵癌や併存膵癌(IPMNに併存した通常型膵癌)のリスク因子であり、分枝型IPMNにおける生涯の膵がん合併頻度は2~10%で、膵がん死亡率は通常の15.8倍とされています。米国では分枝型IPMN患者は10年間で悪性化8%、5年以内の悪性化4.3%とされています。そのためIPMNを指摘された場合は精密検査を行い、現時点で悪性リスクがない場合でも定期的な画像検査が推奨されます。

 

IPMNと診断されると、IPMN国際診療ガイドライン2017年版にて定められているworrisome features(嚢胞径3cm以上、5mm以下の造影される壁在結節、造影される肥厚した嚢胞壁、主膵管径5~9mm、上流膵の萎縮を伴う主膵管狭窄、リンパ節腫大、CA19-9高値、2年間に5mm以上の嚢胞径増大)に当てはまれば、超音波内視鏡検査(以下EUS)での精査となります。またhigh-risk stigmata(10mm以上の主膵管拡張、造影される5mm以上の壁在結節、膵頭部病変例での黄疸)に当てはまれば、全身状態に応じて外科的切除となります。明らかな切除適応でなければ、嚢胞の大きさに応じて経過観察の画像検査方法および期間を決定します。また併存膵癌が疑われれば、worrisome featuresやhigh-risk stigmataに当てはまるかに関わらず、EUSや内視鏡的逆行性膵胆管造影などで精査となります。

 

検査法として、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査などがあります。CT検査やMRI検査での膵臓描出率は約80%ですが、2cm以下の癌では60%台に低下します。超音波内視鏡検査は最も感度が良いとされており、膵癌の診断能は95%と報告されています。 

 

当院では週3日、超音波内視鏡検査を行っており、検査が必要な際は積極的に行っています。検診腹部超音波検査や偶発的に膵嚢胞を指摘された患者様がいらっしゃいましたらいつでもお気軽にご紹介下さい。

造影CT検査で腫瘍は指摘されなかったが、超音波内視鏡検査では8mm大の低エコー腫瘤を認めた。EUS-FNAの結果、膵管癌 stageⅠAの診断となり手術を行なった。

 

 

消化器病センター

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