乳腺の良性腫瘍の中でもっとも多いのが線維腺腫です。思春期~20代の若い女性が乳房にしこりを見つけて医療機関を受診する際、その8割以上が線維腺腫だといわれています。
■線維腺腫の症状と原因
症状は以下のような特徴のあるしこりができます。
・周囲との境界がはっきりしていて、押すとよく動く(周辺組織との癒着がないということ)
・弾力性がある(乳がんよりも柔らかく、硬式テニスボール程度)
・痛みはない
・大きさは通常、1~3cmだが、鶏卵大のものもある
・しこりは片側または両側の乳房にでき、1個~複数個できることもある
原因はよくわかっていません。しかし、初潮後の思春期から20代の若い女性に多く見られる、妊娠によってしこりが大きくなったり、閉経によって小さくなったりすることがあるなどの理由から、女性らしさをつくるホルモンのエストロゲンが関係していると考えられています。
■線維腺腫の治療法
線維腺腫は、放置しておいてもがん化することはなく、年齢とともに自然になくなったり、しこりがわからなくなったりしていきます。そのため、しこりが小さい場合は経過観察とし、とくに治療が行われることはありません。
しかし、以下のような場合には、簡単な切除手術が行われることもあります。
・しこりが急に大きくなった時(巨大線維腺腫など)
・見た目にもしこりがわかり、美容上の問題になる場合
・大きさが3㎝を超えていて、葉状腫瘍の可能性も否定できない場合
手術は、皮膚をわずかに切開してしこりを除去する簡単なもので、通院にて可能で、傷跡も目立ちません。
なお、乳がんと線維腺腫との区別が難しい場合は、針で細胞を取り出して顕微鏡で検査する細胞診断が行われることもあります。
いずれにしても、胸にしこりを感じたら自己診断はせず、乳腺外科などで専門医に診てもらうことが大切です。
ヘルスケア情報サイト「ヘルスケア大学」
監修 女性医療クリニック・LUNAグループ 小関淳 より引用