最近、以下のようなご相談を複数の患者さんからお受けしましたので、簡単に記します。
患者さんからのご相談:
「慢性副鼻腔炎が長引いていて、手術を勧められました。でも、本当に手術が必要なのか迷っています。どうしたらいいでしょうか?」
我々のアドバイス:
慢性副鼻腔炎の治療には、大きく分けて薬物療法と手術療法の2つがあります。まず、手術が必要かどうかは、現在の症状や治療経過によって異なります。しかし、それだけでは、答えになっていないので、あえて単純化した考えをお伝えします。
1. 手術を考慮する場合
以下のどれかに当てはまる場合は、手術を検討することが一般的です。
・薬による治療を数ヶ月続けても改善しない
・鼻づまりや頭痛、顔の痛みなどが続き、日常生活に支障が出ている
・嗅覚障害が長引いている(特に好酸球性副鼻腔炎の場合)
・CT検査で副鼻腔に広範な病変(ポリープ、膿の貯留など)が認められる
・繰り返し副鼻腔炎を発症し、抗菌薬を頻繁に服用している
2. 患者さんからの追加のご質問
「副鼻腔炎の手術は、どんな効果があって、どうやって行うのですか?」
慢性副鼻腔炎の手術は、鼻の内側から内視鏡を使って行う「内視鏡下副鼻腔手術」(ESS: Endoscopic Sinus Surgery)が一般的です。この手術の効果は、
・副鼻腔の通り道を広げて、たまった膿や炎症を取り除くことができる。
・鼻から副鼻腔への通気性を改善し、薬の効果をより発揮しやすくできるといった点にあります。
手術は多くの場合全身麻酔で行い、通常数時間程度で終了します。なお、複数の鼻の手術を組み合わせるとより長い時間がかかります。術後の痛みは比較的軽く、鎮痛剤の内服でコントロールできます。
3. 手術のメリットとデメリット
〇メリット
・長引く症状の改善が期待できる
・薬の効果が出やすくなり、治療の効率が上がる
・再発しにくくなり、抗菌薬の使用回数が減る
×デメリット
・手術後に鼻づまりや出血が一時的に出ることがある
・完全に症状がなくなるとは限らない(特に好酸球性副鼻腔炎の場合は再発の可能性あり)
・術後のケア(鼻の洗浄や定期受診)が必要
4.それでも迷っている場合のとるべき選択肢
手術をすぐに決めるのが不安な場合は、以下の方法もあります。
・セカンドオピニオンを受ける → 別の医師に意見を聞いてみる
・薬物療法をもう少し継続し、経過を見る
・CTや鼻内視鏡検査の結果を再確認し、手術適応を再評価する
5.まとめ
手術をするかどうかは、症状の程度や薬での改善具合を総合的に考えて決めることが重要です。もし、薬をしっかり使っても症状が良くならず、日常生活に支障が出ている場合は、手術を検討する価値があります。一度、CT画像を確認しながら、詳しく説明を受けるのもよいでしょう。不安な点があれば、当院の耳鼻科に受診してみて下さい。