平素より整形外科センターに患者さまをご紹介いただき,誠にありがとうございます.
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今回は,手指骨折の保存的治療について書かせていただきます.
指の骨折は保存的治療が原則です.しかし,手術を行うことにより,かえって悪い結果になることがあります.特に気をつけなければいけないのは基節骨基部骨折です.経皮鋼線固定や観血的整復固定術を行った後に関節拘縮・腱癒着が発生し,ご紹介頂くことが多い外傷です.一端発生した関節拘縮や腱癒着は治療に難渋しますが,MP関節屈曲位で固定しPIP・DIP関節を屈曲させることにより腱の癒着なく,ほとんどの症例は保存的に治療できます.
基節骨骨折のうち基部側副靭帯付着部の裂離骨折はほとんどが保存的治療の対象になります.これもMP関節屈曲位での固定,あるは隣接指とのBuddy tapingで十分です.変形治癒しますが,MP関節の不安定性で困ることはありません.その理由は,MP関節は伸展位では元々不安定な関節で,屈曲位では隣接指があることと,さらに不安定性のために困る作業がないためです.ただし,母指は別です.
PIP関節の過伸展損傷においてX線側面像で中節骨基部に小骨片が生じることがあります.これも保存的治療の対象ですが,外固定はPIP関節伸展位で行うべきです.骨折の解剖学的整復位にこだわる必要はありません.しかも,固定は長くても2週間以内にすべきで,屈曲位固定によるPIP関節拘縮を発生させると後の疼痛の原因になります.
指骨折の保存的治療に役立つアイテムがいくつかあります.
指の骨折の保存的治療には隣接指とのBuddy tapingが非常に有効です.これは指骨折の治療中最も注意すべき回旋変形治癒を防止するためだけでなく,正常な隣接指の力を借りて受傷指の自動屈曲・伸展を助けることができるからです.
関節拘縮・腱癒着でPIP関節の屈曲障害が発生した場合,ベルクロストラップによる治療をまず行います.PIP関節が他動的にも屈曲できない場合は無理ですが,末節あるいは中節レベルから手背までストラップを巻き付け,徐々に締め上げる方法は大変有効ですので,お使いでない方はぜひお試し下さい.
PIP関節の屈曲拘縮には,ばね型あるいは輪ゴム使用による装具を用います.これは比較的ポピュラーなので皆様お使いのことと思います.また,MP関節の伸展拘縮に対するナックルベンダーも一般的にお使いのことでしょう.
PIP関節の屈曲障害改善のため自動運動を行わせる時は,MP関節が曲がらないようにする工夫も大事です.普通に握らせるだけではMP関節が屈曲してしまいます.これには手掌からPIP関節近位までMP関節伸展位を保てるように握らせる小道具が必要で,私はカマボコ板を使わせています.これによりPIP関節だけでなく,板のエッジでDIP関節も自動屈曲練習ができます.