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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2018年6月号

当院総合診療科センター麻酔科・ペインクリニックのうち手術室の麻酔業務について紹介いたします。
当診療科は佐伯茂(科長)、飯田良司(ペインクリニック室長兼病棟医長)、青野麻由(外来医長)、小西純平(医局長)を含む7名の常勤麻酔科医師に加え、非常勤医麻酔科医師の協力のもと麻酔業務を行っています。


各手術室の特徴

中央手術室には8室の手術室がありますが、それぞれの特徴について簡単に説明します。第1手術室では主に心臓血管外科の手術が行われていますが、この手術室はハイブリッド手術室です。そのため心臓血管外科手術以外にもX線透視下にステントグラフト内挿術、TAVIなどが行われています。
第2、第6手術室は腹腔鏡下手術、内視鏡下手術に特化した手術室ですが、これ以外の手術も実施可能です。この2室にはシーリングペンダントが設置されています。すなわち、医用電源、医療ガス、各種情報ジャック、腹腔鏡、内視鏡に使用される機器などは天井懸垂式アームシステムに組み込まれており、このアームの旋回機能、昇降機能により任意の位置に上記機器を設置することが可能です。
第3手術室はバイオクリーンルームで、人工関節置換術、脊椎手術などが主に行われています。第4、第5手術室は心臓血管外科以外の手術がおこなわれています。
なお、第7、第8手術室は眼科その他の診療科の局所麻酔を行うことを想定した手術室であるため他の手術室に比べ小さいですが、全身麻酔をおこなうことは可能です。
2017年度の総手術件数は5171件ですが、そのうち麻酔科が管理した手術件数は2730件でその内訳は外科439件、眼科3件、救命外科6件、救命脳外12件、産婦人科318件、耳鼻科330件、循環器1件、心臓血管外科175件、整形外科1091件、脳外106件、泌尿器209件、皮膚科8件でした。年々手術件数は増加傾向にありますが、常勤麻酔科医はまだ十分に充足されていないため、非常勤麻酔科医の協力は不可欠であるのが現状です。
 
以下に当院の外科手術の特色をあげました。


1:腹腔鏡下、内視鏡下の手術が多いこと

当院の手術の特徴は通常の開腹による外科手術に加え、内視鏡による手術が非常に多いことです。胃切除術、大腸切除術、胆のう摘出術などはほとんどの症例で腹腔鏡下に行われています。また、婦人科領域の子宮全摘術手術、卵巣腫瘍摘出術なども腹腔鏡下に、整形外科の関節の手術、泌尿器科手術、耳鼻咽喉科の副鼻腔の手術も内視鏡下に行われる頻度は高いです。また、最近では内科における胃がん、食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)の症例も増えてきています。


2:整形外科の症例が多いこと

スポーツによる肩、膝、肘の障害に対する内視鏡手術、人工関節手術、脊椎手術、骨折に対する観血的整復固定術など整形外科手術が多いのが特徴です。


3:心臓血管外科手術について

心臓弁膜症に対する開心術、CABGはもちろんのこと、大血管の手術症例(解性性大動脈瘤に対する人工血管置換術)も豊富です。前述したように当院手術室にはハイブリッド手術室があるため、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術も盛んに行われています。


4:経カテーテル大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic ValveImplantation:TAVI)について

旧駿河台日本大学時代に新病院の建設が開始されてから、TAVIチームが結成されました。そしてTAVI チームのミーティングが数十回にわたって行われ綿密な計画のもと、2017年4月に大動脈弁狭窄症に対する第一例目のTAVIが行われました。現在も月1~2症例の割合で行われています。


まとめ

病院自体がコンパクトで、手術室自体も非常にコンパクトにまとまっており、旧駿河台日本大学病院の時代と同様に麻酔科医、外科医、看護師のチームワークが非常によく保たれていることは、この新病院にも引き継がれていいます。そして、一例一例の周術期管理を丁寧にかつ細心の注意を払って行うこと、このことは旧駿河台日本大学病院からの麻酔科教育の基本姿勢でありこれも日本大学病院に引き継がれています。そして、安全な麻酔管理を目指して医局員一同日々研鑽を積んでおります。

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