循環器内科科長の松本直也です。センターニュースへの寄稿は2回目になります。日頃患者様をご紹介頂いている近隣の先生方にはお世話になりまして改めて感謝を申し上げます。循環器内科ではできうる限り患者様の満足度を高めるべく目標を立てております。その一つは入院患者様の平均在院日数の短縮です。入院期間が短くなれば早く自宅に戻ることが可能で、社会復帰準備の為に多く時間を使うことが出来ます。当科で扱います急性心筋梗塞症では血管内治療後早期に心臓リハビリテーションを導入することによって以前に比較しますと入院日数が低下しています。もちろんご高齢の方で当院治療が終了した後に運動器リハビリテーションなどで転院される場合もありますが、新病院に移転前に10日程だった当科入院患者様の「平均在院日数」は、平成29年4月には6日台まで低下しています。
外来通院される患者様にも効率の良い検査を実施させて頂くことで入院中の検査を減らし入院の目的は必要な治療だけを行うという方針で臨んでおります。私の専門であります心臓の画像診断に関わる装置も新築移転した時にすべて新しくしました。特に心臓専用ガンマカメラ(D-SPECT:ディースペクトと読みます)は高感度のガンマカメラであり、これまでのアイソトープ使用量を減量し、検査方法(プロトコル)を工夫することによって検査時間を従来の約半分(1.5時間)にまで短縮しています。
D-SPECTは東京23区内では当院にしか設置されておらず、冠動脈疾患の診断とマネージメントに威力を発揮する新しい検査装置です。胸痛を訴えている患者様が居ましたら是非ご紹介ください。
外来患者様の満足度向上の為に逆紹介にも力を入れています。ご開業の先生方からご紹介頂いた場合、治療が一段落した場合よほどの事が無い限り先生方の外来に逆紹介をしていると思います。また最近は当院かかりつけの患者様をご自宅の近くで開業されているドクターに紹介する「真の逆紹介」も行っております。当院に長く通院されてきた患者様でも80歳を超える年齢になりますと次第に自宅との往復が難しくなったり、御茶ノ水駅にエスカレーターやエレベーターがないこと、また当院が新築移転した際にJR御茶ノ水駅からやや遠くなってしまい間に坂道が存在することもあり通院が難しくなるケースに遭遇します。このような時に自宅の近くでご存じの医院・クリニックさんを知りませんか?と伺い患者様の意向も聞いた上で診療情報提供書を作成することがあります。「真の逆紹介」をさせて頂きますとそのドクターからまた新たに患者様をご紹介頂くこともあり、幸いなことに当科の「延べ外来患者数」は減少しておりません。また「新入院患者数」は増加傾向にあります。
新築移転開業から2年半が経過し、目新しさは徐々に薄れてきているかもしれませんが、外来・入院患者様の満足度を向上させることで当地域における日本大学病院循環器内科の存在価値を見いだしていきたいと思っています。
今後ともどうか宜しくお願い致します。