メインコンテンツへスキップ

日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2016年8月号

今回は当循環器病センターで私が専門とする不整脈疾患のうち、大半を占める心房細動と当院の診療実績についてお話しいたします。

近年超高齢化社会を迎えるとともに、循環器疾患のなかでもとりわけ加齢により罹患率が上昇する心房細動症例が増加し、本邦における患者数は100万人を超えるといわれております。心房細動は非致死的不整脈に分類されているものの、心原性塞栓症の原因となり、脳梗塞発症による生命予後の悪化や心不全発症、動悸症状によるQOLの低下など不利益を多くもたらすことが知られております。

心房細動患者の約半数以上は自覚症状がなく、毎年健診を受診している方でさえ症状がない場合見過ごされます。健診で心電図異常がなくとも年間約1%に新規心房細動が発症し、男性や高齢者においてその増加が著しくなる傾向にあります。本邦での急性期脳梗塞発症例のうち約20%が未発見の心房細動合併例であることからも、早期診断と心原性脳塞栓症の予防策を可及的速やかに立てることが今後の課題です。心房細動発症から1年以内の死亡率が高いことが明らかであり、健診で明らかになった心房細動例において、心血管系疾患の合併の有無を含め早期に危険因子の評価を行う必要があるといわれております。

当院では心房細動例に対し、心血管系スクリーニング検査を最新の心臓画像診断機器を用いて行い、危険因子の評価を行ったうえで抗凝固療法およびリズムコントロール治療などの適応を検討します。

また心房細動のない高血圧症、糖尿病、心不全症例でも、長時間装着のイベントレコーダー等を使用し、新規心房細動の発症率を検討する多施設前向き研究を開始するなど、早期発見・早期治療に力を入れております。

近年発展開発のめざましい心房細動カテーテルアブレーションは、当院でも症例が増加し、最近1年間(2015年7月~2016年6月)で150例(平均年齢65歳:32~84歳)に施行しました。当院の治療成績ですが、複数回施行例や抗不整脈薬併用例を含み約82%が洞調律維持可能となっております。またこの心房細動カテーテルアブレーションは施設の症例数や経験値により合併症(心タンポナーデ、脳血栓塞栓など)が懸念される手技ですが、上記期間の当院での発生は1例もなく、安全な治療を提供できると考えております。

治療ガイドラインでの適応は、抗不整脈薬に効果がなく症状を有する発作性心房細動が第一選択とされていますが、持続性心房細動でも心不全合併症例や運動耐用能低下症例(「最近歩くのが疲れる」、「苦しいので趣味の運動をやめてしまった」などと訴える方)では、年齢に関係なく治療方法の選択をご説明し、最適な治療方法を相談しながらすすめて参ります。

々の診療において罹患期間にかかわらず心房細動の患者さんがおりましたら、月・金・土曜日の外来までご紹介頂ければ幸いです。またその他不整脈疾患関連や心電図異常などのご相談も承りますので、お気軽にご連絡いただけますよう宜しくお願い申し上げます。

循環器病センター

診療受付時間

初診の方
月〜金曜日
/
土曜日
再診の方
月〜金曜日
/ 午後は予約診療のみ
土曜日

休診日

日曜日・祝日,日本大学創立記念日の振替休診日(10月5日),年末年始(12月30日〜1月3日),ゴールデンウィーク(5月3日〜5月6日)

住所

〒101-8309 東京都千代田区神田駿河台1-6 Google Map