総合診療センター 麻酔科・ペインクリニック科、私達が働く手術室についてご紹介いたします。
<麻酔科・ペインクリニック科>
当科は、佐伯茂(科長)、飯田良司(ペインクリニック室長兼病棟医長)、青野麻由(外来医長)、小西純平(医局長)以下6名の麻酔科常勤医師に加え、非常勤麻酔科医の協力の下、主に手術室での全身麻酔、及び一部局所麻酔の管理を行っています。加えて、ペインクリニック外来も行っており、担当は月曜日:飯田(午前)、火曜日(終日):佐伯、木曜日(終日):青野、金曜日(終日):飯田となっています。土曜日の外来は、各診療科の依頼を受け、高リスクの患者さんなどに対して麻酔前診察を行っています。
<中央手術室について>
病院6階に位置する中央手術室には、現在8室の手術室がありますが、それぞれの特徴について簡単に説明します。
第1手術室では主に心臓血管外科の手術が行われていますが、この手術室はハイブリッド手術室です。そのため心臓血管外科手術以外にもX線透視下にステントグラフト内挿術、TAVIなどが行われています。
第2、第6手術室は腹腔鏡下手術、内視鏡下手術に特化した手術室です。この2室にはシーリングペンダント(医療用電源、医療ガス、各種情報ジャック、腹腔鏡、内視鏡に使用される機器などが、天井から懸垂されたアーム内の棚の中に全て組み込まれている)が設置されています。このアームの旋回機能、昇降機能により任意の位置に上記機器を設置することが可能です。
第3手術室はバイオクリーンルームで、人工関節置換術、脊椎手術などが主に行われています。第4、第5手術室は心臓血管外科以外の手術がおこなわれています。
なお、第7、第8手術室は眼科その他の診療科の局所麻酔を行うことを想定した手術室であるため他の手術室に比べ小さいですが、全身麻酔を行うことも可能です。
2018年度の総手術件数は5321件で、そのうち麻酔科が管理した手術件数は3058件でした。その内訳は、消化器外科347件、心臓血管外科161件、呼吸器外科32件、脳神経外科(カテーテル治療の全身麻酔も含む)118件、婦人科391件、泌尿器科149件、乳腺外科98件、整形外科1103件、耳鼻咽喉科361件、眼科15件、皮膚科4件、救命科2件、循環器内科3件、消化器内科(内視鏡全身麻酔)4件でした。年々手術件数は増加傾向にありますが、常勤麻酔科医はまだ十分に充足されていないため、非常勤麻酔科医の協力は不可欠であるのが現状です。
<当院外科手術の特色>
以下に、当院外科手術の特徴をまとめました。
1:内視鏡下(腹腔鏡、胸腔鏡、関節鏡、膀胱鏡など)の手術が多いこと
通常の開腹による外科手術に加え、内視鏡による手術が非常に多く行われています。消化器外科による胃切除術、大腸切除術、胆のう摘出術などは、ほとんどの症例が腹腔鏡下に行われており、婦人科領域の子宮全摘術、卵巣腫瘍摘出術なども腹腔鏡下に、呼吸器外科手術、整形外科の関節の手術、泌尿器科手術、耳鼻咽喉科の副鼻腔の手術も内視鏡下に行われる頻度は高いです。また、最近では消化器内科による胃がん、食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection: ESD)の症例も増えてきています。
2:整形外科の症例が多いこと
スポーツによる肩、膝、肘の障害に対する内視鏡手術、人工関節手術、脊椎手術、骨折に対する観血的整復固定術など整形外科手術が多いのが特徴です。四肢末梢の手術に対しては、全身麻酔に加え超音波ガイド下に施行する神経ブロック(腕神経叢ブロック、大腿神経ブロック、坐骨神経ブロックなど)を併用しております。
3:心臓血管外科手術について
心臓弁膜症に対する開心術、CABGはもちろんのこと、大血管の手術症例(解性性大動脈瘤に対する人工血管置換術)も多く行われています。前述したように当院手術室にはハイブリッド手術室があるため、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術も盛んに行われています。また、循環器内科と心臓血管外科合同による経カテーテル大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI)も開始から2年が経過し、現在も月1~2症例の割合で行われています。
<まとめ>
板橋病院と比べ病院自体がコンパクトで手術室数も少ないですが、部屋の配置などが機能的に作られており、旧駿河台日本大学病院と同様に麻酔科医、外科医、看護師のチームワークが非常によく保たれています。また上記の通り、当院ならではの手術も多くあり、そのための機器も充実しております。
麻酔科研修医の教育についても、麻酔指導医、専門医による教育体制を充実させるべく指導医一同気持ちを新たに頑張っております。一例一例の周術期管理を丁寧にかつ細心の注意を払って行うこと、このことは旧駿河台日本大学病院からの麻酔科教育の基本姿勢であり日本大学病院にも引き継がれています。