昨年10月に日本大学病院に移転、新規開院してから、早くも1年が経とうとしております。新病院となった目玉は何と言ってもまずhybrid手術室の導入であります。Hybrid手術室とは従来の手術室の機能(清潔空間・手術用ベッド)に加え血管撮影装置を併せ持つものと指します 。これにより手術手技を行いながら,カテーテル操作を併用することが容易にできるようになりました。同時に画質も格段に向上したことにより,より精度の高いより安全な手術が可能になっております。様々な領域でhybrid手術室を利用した手術が行われますが,最もその恩恵にあずかれるのが血管外科であります。当院では,胸部/腹部大動脈瘤,胸部大動脈解離,に対してステントグラフと内挿術を行い,下肢動脈閉塞疾患でもカテーテル治療,バイパス手術,カテーテルとバイパスを同時に行うhybrid手術をこのhybrid手術室を利用して施行しております。特に,動脈瘤治療においては低侵襲手術は他領域のコスメティックに低侵襲な術式ではなく,従来であれば手術不可能と判断される患者さんに対して手術が可能となる治療のパラダイムシフトを可能とする画期的なものであります。
また,下肢動脈疾患では,当科が中心になりフットケア外来も合わせて行っており,長く診療に携わってきた経験から,診断から保存的治療(内服療法/運動療法),侵襲的治療,術後経過観察を一貫して行っております。一つの治療方法だけに固執することなく病変,と患者さんの状態に即して最適の治療を選択し施行できます.また,近年限られた施設でのみ施行されてこなかった大動脈弁狭窄患者に対する経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valveimplantation:TAVI)もこのhybrid手術室を施行の必須条件として施設認定を行っており,現在,当院でも施行に向け準備を行っております。年内に手術開始を目指しております。是非,進化した日本大学病院で先進治療を受けていただけるようご紹介いただければ幸いです。