レディースセンター【経腟的内視鏡手術について】
今回は、新たな婦人科内視鏡手術として経腟的内視鏡手術vNOTES (transvaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)をご紹介いたします。
この手術は管腔臓器を用いた内視鏡手術のことをいい、婦人科領域では腟を使って行う内視鏡手術となります。腹部に創をつけずに行いますので、より低侵襲な手術になります。アプローチ方法は、前後腟円蓋部に穴をあけ、そこから通常の腹腔鏡手術と同様に炭酸ガスを送り込んで腹腔を膨らませて手術を行います。それぞれの靱帯や血管はその都度、縫合結紮やエネルギーデバイス(超音波凝固切開装置)を用いて凝固止血切開して進めます。これにより通常の腹腔鏡手術以上に術後の痛みは少なくなり、また腹部に創もなく、社会復帰も早まり、よってメリットは大きくなります。入院期間は1週間以内となります。手術時間は一般に1~2時間程度ですが、癒着がある場合には延長することもあります。もしも癒着が強い場合等では最初に臍窩からカメラで覗いて観察し、vNOTESが可能かの判断もできます(hybrid vNOTES)。もし予期せずこの手術が困難な場合には、通常の腹腔鏡手術に切り替えます。
この手術が不向きな方は腹腔内癒着が強い方や性交未経験の方、子宮が臍の高さを超えている方になります。
当院では、経産婦に限らず、未産婦や帝王切開既往の場合でも、vNOTESを選択が可能です。
患者様で、あるいは先生方で、この手術を希望される場合には、一度当院にご紹介していただければ幸いに存じます。窓口は産婦人科の責任者である永石の外来をご予約ください。今後ともよろしくお願い申し上げます。