声帯病変の診療につきまして①
今回のニュースレターでは、良性の声帯病変の代表である声帯ポリープや声帯結節について説明し、当科の音声喉頭外来での取り組みの一部についてご紹介いたします。
声帯ポリープと声帯結節は、声帯の縁に隆起する病変ができることで、発声に必要な声帯振動が妨げられることで嗄声(声のかすれ)が起きる病気です。これら二つの病気は、過度な発声による声帯の酷使が原因と考えられています。そのため、まずは沈黙による改善を図ろうとします。しかし、社会生活を送る上で、長期にわたる沈黙状態の維持は困難なことはいうまでもありません。そのため、嗄声(声のかすれ)が、なかなか治らずに、手術治療を目的に当科に受診される方が数多くいらっしゃいます。
当科の音声喉頭専門外来では、声帯ポリープや声帯結節と診断された方に対して、お一人お一人の喉の状態と生活の状況を確認いたします。そして、それらの要因に応じて、①医師による手術治療と②言語聴覚士による音声治療とを組み合わせて、治療を行います。仮に声帯結節に悩む患者さんに対して、医師による手術治療のみを行っても、原因である声帯の酷使を引き起こす誤った発声習慣を術後も行っていれば容易に再発してしまうからです。そこで、誤った発声習慣や方法を是正し、正しい発声法の獲得を一つのセットとした治療を行っております。
手術法には、大きく二つあります。くびれのある有茎性のポリープであれば、局所麻酔下での声帯ポリープ切除術を行うこともあります。一方、裾野が広がるような幅広い声帯ポリープや声帯結節では、多くの場合に安全かつ過不足ない病変の切除を行うため、全身麻酔のもと喉頭鏡的な手術を行います。この場合でも、口の中から喉の病変を切除しますので、頸部など外から見える部位には傷は残りません。
医療機関・かかりつけ医の先生方からのご相談・ご紹介をお待ちしております。