アフターコロナにおける当院手外科関連手術の現状
盛夏の候、ますますご清栄の段、心よりお喜び申し上げます。
2022年9月以来のニュースレターの執筆です。その間に、新型コロナウイルス感染は2類から5類に移行し、医療体制においても強制的な面は緩和しました。以前は、たとえ無症状の方でも入院、手術前は抗原検査やPCR検査が必須でしたし、結果によっては、隔離入院させたり、手術自体を中止、延長せざるを得ませんでした。そのため、患者さんの中には、治療のタイミングを逃してしまうこともありました。その中で、アフターコロナにおける当院手外科関連手術の現状について、簡単ではございますが述べさせて頂きます。
2023年度の手術件数は計312件でした。内訳は、手根管症候群手術26件、肘部管症候群手術10件、骨折手術(変形治癒骨折矯正、偽関節含む)88件、関節手術(関節鏡含む)25件、腱断裂手術9件、ばね指手術28件、その他126件でした。一方、新型コロナウィルス感染流行前の2019年度の手術件数は計338件でした。内訳は、手根管症候群手術36件、肘部管症候群手術10件、骨折手術115件、関節手術41件、腱断裂手術31件、ばね指手術37件、その他68件でした。また、それらの間のコロナ禍にあった2021年度の手術件数は計222件でした。内訳は、手根管症候群手術27件、肘部管症候群手術7件、骨折手術96件、腱断裂手術10件、ばね指手術16件、その他66件でした。以上の手術実績から、現状は流行前の状態にだいぶ戻ったと考えます。一方、骨折手術の件数はコロナ禍に関係なく例年占める割合が高く、これも当院の特徴であると考えます。
そして、最近はWide awake hand surgeryも積極的に導入しています。これにより、従来は全身麻酔下に施行していた手術も、局所麻酔による除痛下の手術に置き換えることで運動まで遮断しないことから、術中、患者さんに自動運動をしてもらえますし、その場で手指の運動や動作に問題ないかを確認できます。適応は限定されますが、主に腱断裂手術や骨折手術に応用しています。局所麻酔下の手術であることから、全身麻酔よりも体への負担が軽減できる点や入院不要でかつ手術室滞在時間の短縮が望めることから手術枠の確保が容易になる点など、患者さんのみならず我々医療従事者にとっても利点が多いと考えています。今後はより一層、少しでも多くの患者さんに適切かつ早期に治療を提供できるように精進していきます。
末筆となりますが、皆様のご健康とご多幸をお祈り致しまして、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。