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日本大学病院

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ニュースレター

2024年9・10・11月号

一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛)

常日頃より内科に多くの患者様をご紹介いただき、有難うございます。内科科長の小川克彦と申します。今回は一次性頭痛を紹介させて頂きます。

 一次性頭痛とは画像検査などの臨床検査で頭痛の原因となる器質的疾患がみられない頭痛疾患を指し,片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛が含まれます ()。片頭痛は女性に多く発症し,初発年齢は 10 30 歳台です。前兆を伴うものとそうでないものがあり,前兆には閃輝暗点といわれる視覚性前兆が多くみられます。脈をうつような拍動性の頭痛が発作的に出現し反復します。多くは片側性に出現し,頭痛発作中に悪心・嘔吐などの随伴症状が多くみられ,月経・騒音などの誘発因子がみられることがあります。治療では,発作時では鎮痛薬やトリプタン系薬物,エルゴタミン製剤が使用されます。予防薬は発作が多い場合に投与され,βブロッカーやカルシウム拮抗薬 (塩酸ロメリジン),バルプロ酸ナトリウムが使用されます。最近では、抗CGRPモノクローナル製剤の注射薬が使用されるようになり、十分な予防効果が得られております。

 緊張型頭痛は,頭蓋筋や頚部筋の持続的収縮により生じる頭痛で,両側性に持続性の頭重感や圧迫感がみられます。眼精疲労やストレス・頸椎の変形などが原因になります。療では,鎮痛剤や筋弛緩薬,抗不安薬が投与されます。群発頭痛は,一側眼窩とその周囲に限局した強い痛みを呈するもので,一回の発作時間は 20 90 分位ですが,その発作が 2 3 週間の間に群発してみられます。間欠期間が長く,群発期は 1 年に 1 2 回発生します。20 歳台の男性に初発し,発作中に眼球結膜の充血や流涙を伴うことがあります。発作期間中に飲酒すると頭痛が誘発されますので,群発期間中は禁酒するように指導します。発作時の治療では,トリプタン系薬物の1つであるスマトリプタンの皮下注射や高濃度酸素の投与が有効です。

当院神経内科は内科に配属されており、血管障害のみならず様々な神経疾患を診断加療しております。神経疾患が疑われる患者様がおりましたら、ご気軽に紹介いただけると幸いです。今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

 () 一次性頭痛の特徴

 

片頭痛

緊張型頭痛

群発頭痛

性差

女性に多い

明らかでない

男性に多い

初発時期

10 30 歳台

明らかでない

20 歳台

周期性

月経と関連することあり

明らかでない

長い間欠期 (長いものは 1 年以上)

頻度

平均 2回/月

明らかでない

2 3 週間中に群発する

持続時間

前兆あり:4 6 時間

前兆なし:12 48 時間

長い場合が多い

20 90 分/一回の発作

偏在性

片側性が多い

両側性

片側性

部位

前頭 〜 側頭部

全体

眼窩部

頭痛の性状

拍動性

圧迫感

えぐられる

頭痛の程度

中等度 〜 高度

軽度 〜 中等度

重度

随伴症状

悪心・嘔吐

前兆あり:閃輝暗点

肩こり

結膜充血・流涙・鼻閉

誘発因子

月経・まぶしい光・ストレスからの解放・騒音

眼精疲労・ストレス・頸椎の変形など

アルコール (発作期間中)

発作時

鎮痛剤・エルゴタミン製剤・ トリプタン系薬物の屯用

鎮痛剤・筋弛緩薬の屯用

(特に痛みのつよい時)

トリプタン系薬物 (スマトリプタンの皮下注射が特に有効)・高濃度酸素の投与 (フェイスマスクで 7 12/分,15 30 )

予防

βブロッカー・カルシウム拮抗薬 (塩酸ロメリジン)・バルプロ酸ナトリウム・抗CGRPモノクローナル製剤

筋弛緩薬・抗不安薬

副腎皮質ステロイド薬 (60 100mg/日を 5 日程続けて以後減投与)

内科系・外科系診療科

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