アキレス腱断裂に対する最新の低侵襲な手術療法
平素より当院へ患者様をご紹介いただき、心より感謝申し上げます。整形外科センターの駿河誠(するがまこと)です。私は、主に膝関節の関節鏡手術を中心としたスポーツ整形外科を担当しております。
今年はイタリア・ミラノで開催された国際学会「ESSKA (European Society for Sports Traumatology, Knee Surgery and Arthroscopy)」に参加してまいりました。新型コロナウイルスによる渡航制限が解除され、久しぶりに国際学会に参加できたことを非常に嬉しく思います。学会の活気も戻り、他大学の先生方との交流を通じて、日々の診療に対するモチベーションも一層高まり、大変有意義な時間を過ごすことができました。今後も学術的な活動にも力を入れていく所存です。
今回は、当院が取り組んでいる低侵襲なアキレス腱断裂手術についてご紹介いたします。アキレス腱断裂の治療には、保存療法と手術療法があり、どちらを選択すべきかについてはまだ確固たるコンセンサスが得られていません。しかし、私は早期の社会復帰と再断裂のリスク低減の観点から、手術療法をお勧めしています。
アキレス腱縫合には様々な術式がありますが、一般的には約5cmの皮膚切開を加え、直接縫合する直視下縫合が行われています。その他に、経皮的にアキレス腱に糸を通し、約2-3cmの小さな皮膚切開で縫合を行う経皮的縫合法もあります。この方法は非常に低侵襲ですが、縫合強度が直視下縫合に劣る点が課題でした。しかし、近年、経皮的でありながら直視下縫合と同等の縫合強度を持つ術式が登場しました。当院では2021年よりこの新しい術式を採用し、さらに独自に改良を加えて、より良い手術を提供しております。この術式では、皮膚切開が小さく、縫合強度も高いため、手術後1週間前後でアキレス腱専用のブーツ装具を装着し、全荷重での歩行が可能です。患者様の満足度も非常に高い手術と考えております。
最新の治療法を患者様の背景やニーズに合わせ、最適な選択を共に考えながら提供しています。私はまだ若輩者ですが、年間150件以上のスポーツ関連手術を執刀させていただいております。患者様やご紹介いただく先生方にご満足いただけるよう、常に丁寧な診療を心がけております。お困りの患者様がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご紹介いただければ幸いです。
最後になりますが、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。今後とも、どうぞ変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。