加齢黄斑変性の診療ガイドラインアップデート
うだるような暑さの夏が過ぎ去ったと思いましたら、急に寒くなって参りましたが、皆様体調はいかがでしょうか。常々、貴重な患者様をご紹介いただき誠にありがとうございます。
当院では加齢黄斑変性(AMD)患者が非常に多くいらっしゃいますが、この度AMDの診療ガイドラインが2008年以来実に16年ぶりに改訂されました。概要は下記の通りですが、ポイントは①50歳以上の年齢制限撤廃:最近OCTアンジオグラフィーの発展により40歳代でもAMDの患者様をみることは決して珍しくなくなりました。②滲出型AMD⇒新生血管型AMD:今まで「滲出型AMD」と呼称していましたが、海外では「neovascular AMD:nAMD」と呼ばれることが一般的となりました。海外に合わせて「新生血管型AMD」と呼ぶことになりました。③「パキコロイド」の概念追加:最近、OCTの進歩により、脈絡膜の変化をみることができるようになり、パキコロイド(厚い脈絡膜)が注目されるようになりました。
「パキコロイド」疾患には、網膜色素上皮異常(PPE)、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)、Pachychoroid neovasculopathy(PNV)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)などが含まれ、脈絡膜が病態に深く関わっていることがわかってきています。④病期を欧米と統一:今までは「前駆病変」と「滲出型AMD」に分類されていましたが、今回は欧米の分類のように「早期」、「中期」、「後期」、「末期」と分類されました。125µm以下の小さなドルーゼンであれば、早期AMD、それ以上のドルーゼン、網膜色素上皮異常は中期AMDとなりました。2008年のガイドラインでは1乳頭径以上の網膜色素上皮剥離(PED)は、滲出型AMDとみなしてよいとされていましたが、今回はOCTangiography(OCTA)の進歩により外れました。今後はPEDもOCTAでMNV(黄斑新生血管)を確認しなければ、nAMDと診断できないことになりましたので注意が必要です。
詳しくは学会や講演で説明があるかと思いますのでご参照ください。
当院では患者様に合った治療を相談しながら進めて参りますので、AMD患者様がいらっしゃいましたら是非ご紹介いただけますようお願い申し上げます。
年末に向かい何かとご多忙のことと存じますが、今後共、ご支援ご厚情を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
日本網膜硝子体学会 新生血管型加齢黄斑変性診療ガイドライン作成ワーキンググループ |