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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2025年7・8月号

手術室の空調の小噺

 麻酔科の 道宗 です。

 

 梅雨明け前(執筆時点)にもかかわらず、とてつもなく暑い日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。我が家では長年、家族がなかなかエアコンをつけて過ごすことに首を縦に振らず、私にとっては非常に寝苦しい夜が続いておりましたが、数年前より長毛の猫を迎え入れたことにより、エアコンの夜間使用がいつの間にか行われるようになりました。猫様のほうがヒエラルキーの高い道宗家です。

 手術室は、病院の中においても清潔度の高い空間であり、強力なエアコンが完備されています。とくに整形外科の手術では、オペレーターが放射線防護衣、その上から感染防護ガウンを装着し、さらに「宇宙服」と揶揄されるようなヘルメットも被ることがあり、汗だくになりながら手術に臨まれているので、かなり室温を下げることを要求されます。当然、患者さんは冷気にさらされてしまい、手術中に体温が低下する要因となります。全国の病院で術者と手術室スタッフとの間で室温をめぐる仁義なき戦いが繰り返されています(整形外科医を非難するつもりは毛頭ないので、誤解のないようにお願いいたします)。

 全身麻酔を行うと、何も対策しない場合どのくらい体温が低下すると思いますか(正解は最後に)。麻酔導入とともに、体の中枢に蓄えられていた体温が四肢などの冷えた末梢部分に逃げてしまうことが原因とされ、患者さんが全身麻酔から醒めたときに体温が低いと、体がガタガタと震えるシバリングが生じ、非常に不快な思いをすることとなります。シバリングは筋肉の酸素消費量が増大することから、血中の酸素含有量が低下し心筋梗塞や脳梗塞、感染症などのリスクが増え、まさに「百害あって一利なし」です。体温をなるべく保つために、術中は温風加温装置を用いる、輸液を加温する、体温を上昇させる効果があるとされるアミノ酸製剤を使用する、シバリングを抑える作用のあるとされるトラマドール、ペチジンといった薬剤を使用する、そして室温をなるべく高く保つ、といった努力が日々行われています。

 

 

今後とも日本大学病院麻酔科・ペインクリニックを宜しくお願いいたします。

(正解は約4℃)

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