高血圧ガイドライン2025
年の瀬も押し迫り、ご多忙のことと存じます。平素より貴重な患者様をご紹介いただき、誠にありがとうございます。
本日は眼科分野ではなく、全身疾患に関連する高血圧ガイドライン改訂についてご紹介いたします。ご承知の通り、高血圧は「万病のもと」とされ、眼科領域でも網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、虚血性視神経症、高血圧網脈絡膜症、加齢黄斑変性、緑内障などのリスク因子として知られています。
この高血圧ガイドラインが2019年以来、6年ぶりに改訂されました。今回の改訂の大きなポイントは、降圧目標が年齢や合併症にかかわらず一律「診察室血圧130/80mmHg」に統一されたことです。従来は75歳以上の高齢者では140/90mmHgと緩やかに設定されていましたが、今回撤廃されました。
まとめますと、
・高血圧の定義:診察室血圧 140/90mmHg、家庭血圧 135/85mmHg(従来通り)
・降圧目標:診察室血圧 130/80mmHg、家庭血圧 125/75mmHg(新基準)
これらの値を上回ると年齢にかかわらず脳卒中や心筋梗塞のリスクが増加することが報告されており、今回の改訂につながりました。
さらに、当科臨床教授・表参道内科眼科の土屋先生のご助言により、**「網膜静脈閉塞症では高血圧コントロール不良が高率に合併するため、綿密な検索と治療が必要である」**との文言が新たに盛り込まれました。糖尿病網膜症において眼科医が果たす役割は従来から大きいものでしたが、今後は網膜静脈閉塞症についても、眼科医と内科医が連携して治療にあたる必要が明記されたことになります。
当科の血管閉塞外来では、網膜静脈閉塞症の患者様全員に血圧手帳をお渡しし、家庭血圧の測定をお願いしています。その上で頸動脈エコーや採血により動脈硬化を評価し、患者様への意識付けを行っています。Wu CYらの報告によれば、網膜静脈閉塞症患者は脳卒中のリスクが1.45倍、心筋梗塞のリスクが1.26倍高いとされており、全身疾患としての認識が重要です。一方で、適切な治療により平均2年で抗VEGF薬から離脱できるとする報告もあり、高血圧管理がアウトカム改善につながる可能性について研究を進めています。
網膜静脈閉塞症の患者様がおられましたら、ぜひ当院へご紹介いただけますと幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。