アピアランスケア シリーズ第7弾「アピアランスケアとしての上腕CVポート」
CVポートとは、心臓近くの中心静脈から、薬の点滴を安全に行うために用いる医療機器の一種で、1982年頃からあり約45年の歴史があります。CVポートは、薬の注入口であるポート本体(皮膚の下に埋め込み)と、薬の通り道であるカテーテル(血管内に挿入)から構成されています。穿刺部位により、鎖骨下静脈穿刺法、内頚静脈穿刺法、上腕部静脈穿刺法の3種類があります。CVポートの適応としては、繰り返し抗がん剤投与が予定されている患者さま、血管が細く末梢血管の確保が難しい患者さま、アンスラサイクリン系薬剤(乳がん治療に使用されるAC療法、EC療法)の血管炎の予防目的などです。現在のCV ポートは、抗がん剤の点滴、採血、造影剤の使用が出来、乳がんの抗がん剤治療において重要なデバイスの1つです。日本では末梢血管の確保が難しい状態になってからCV ポートを留置していますが、海外では 『早期にCV ポートを使用して点滴を行い、手や腕の血管を後々まで温存する』 Veins for Life が主流です。


カテーテル 上腕CVポート
【乳腺外科医が上腕CVポートを選ぶ理由(メリット)】
1)手術の合併症が少ない:気胸やピンチオフが起きない(⇔鎖骨下静脈穿刺法)、キンクが起きない(⇔内頚静脈穿刺法)、動脈穿刺後の血種が重症化しにくい。
2)手術の患者さまの恐怖感が軽減される:頸部や鎖骨下を穿刺されることは、手術時の患者さまに恐怖感を与えます。しかし、上腕を穿刺されることは、採血や点滴の延長と感じ、手術時の患者さまの恐怖感が軽減されます。
3)上腕CVポートは整容性(見た目)が良い:乳がん患者さまは女性であり、整容性は精神面において重要であります。ポート部は上腕の内側に留置しているので正面からでは見えない、外旋時にはポート部が見えますが、通常の肢位であればポート部は分かりづらいです。

頸部皮下にカテーテルが見える内頸CVポートの外観
【アピアランスケアとしての上腕CVポート】
『がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン』では、繰り返しがん薬物療法薬の投与を予定するがん患者さまに対してCV ポートが推奨されています。上腕CV ポートは整容性が良く、乳がん患者さまの精神的なダメージ軽減につながるので、当科ではアピアランスケアの一環として上腕CV ポートを行っています。現在、『がん治療におけるアピアランスケアガイドライン』には上腕CV ポートの記載はないですが、今後、取り扱われることを期待しています。

正面 外旋時
上腕CVポートの外観