今回は当院で数年前から取り組んでおります、完全関節鏡視下Bristow & Bankart法についてご紹介させていただきます。
本術式の適応は、外傷性の反復性肩関節脱臼の中でもコリジョン系のスポーツ競技者(特に学生アスリート)もしくは、肩甲骨関節窩の骨欠損が約25%程度に達する一般の患者様です。当院では3年ほど前から導入を行っている術式です。鏡視下にBankart repairを行う前に、共同腱付き烏口突起を骨切りし、肩甲下筋をスプリットし関節窩の前方に骨移植を加えることで、修復した関節包の外で骨頭の前方脱臼の動きをさらに押さえる方法であり、再受傷・再脱臼を強力に防ぐ方法として導入しております(図1)。我々の施設における関節鏡視下Bankart repairの術後5年の中期成績は、再脱臼率が非コリジョンスポーツ群では0%でしたが、コリジョン群は11%(最近の文献的報告は5~23%程度)でありました。このため、スポーツ中の再受傷であれ一人の再脱臼患者さんも出さないために本術式を導入した次第であります。さらに本術式のメリットとしては筋力トレーニングの再開並びに競技復帰が2か月程度短縮されることもあります。現在、完全鏡視下に本術式を行っている施設はそれほど多くないと認識しております。本術式は非常に難易度が高いため、適応の決定は厳正に行い、手術は熟練した術者のみで、いつにも増して慎重を期して行っております。また直視下のBristow変法のころより移植骨の骨癒合の問題点が課題の一つにありましたが、当院では独自に開発したCoracoidリーマーとGlenoidリーマーを使用することで、その課題もクリアーできるようになりました。
日頃より、スポーツ系の肩関節脱臼や野球肩に限らず、肩腱板断裂や難治性の五十肩の症例など多くの患者様を御紹介いただきありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導いただければ幸いです。