消化器外科病棟で班長を務めております、宮国 泰己と申します。当科では細分化せずに消化器全般の外科を扱っており、上部消化管(食道・胃)、下部消化管(小腸・大腸・直腸)、肝・胆・膵領域における手術、また、急性腹症に対する緊急手術(虫垂炎・胆嚢炎・腸閉塞など)、脱腸(ヘルニア)や肛門疾患を始めとする良性疾患など多岐に渡る分野でより良い医療が提供できるように日々精進しております。私の趣味である「読書」のなかで、先日、興味深い文面に出会いました。
フランスのファッションデザイナーであるクリスチャン・ディオールが「もっとも完成度の高い服とは?」との質問を受けて、「デザイナー、パタンナー、縫い子、販売員、消費者、それぞれに『この服は誰のものか?』と訊ねられたとき、全員が『わたしのもの』と答えた服。それが、もっとも完成度の高い服である」と答えていたというのです。チームや組織とはそういうものではないでしょうか。また、関わるすべての人間が、「チームは自分のもの」と答えられるチームは間違いなく完成度の高いチームである。これは昨年、53歳という若さで人生のピッチを去った、「ミスターラグビー」こと平尾誠二氏の著書「リーダーの力」の一文です。
医療の現場でも、これはあてはまるのではないでしょうか。「もっとも完成度の高い医療とは?」との質問を受けて、もしかすると「カリスマドクターが行う医療」と考えている方もいるかもしれません。しかし、私は「医師、看護師、薬剤師、栄養士、放射線科技師、理学療法士、検査技師、医療連携室、事務、それぞれ関わった医療スタッフが『この患者さんは誰の患者さんか?』と訊ねられたときに、全員が「この患者さんは、自分が受け持っている患者さん」と答えられる医療、環境は、間違いなく完成度の高い医療を提供できていると思っています。
働いているみんなが、自分たちで納得できる、医療、病棟、病院であること。自ら、自分たちの仲間を、最高のメンバーであると認め合い、敬いあえる環境こそが、完成度の高い医療の現場と思っております。「誰が手術してくれるのですか?」との質問に対して、「手術は一人ではできませんので、外科のスタッフみんなで行います。また、術後の管理も含め病棟等の業務は、医師だけでなく看護師を含めたチームで医療を提供していきます」と答えるようにしています。外科は特に、チーム医療が大切であり、1人では手術ができません。また、看護師をはじめ、たくさんのコメィディカルのスタッフに支えられ、助け合いながら医療を提供しております。最強・最高のチームとなれるように、今後とも精進していきたいと思います。