人工膝関節置換術(TKA)は、「除痛効果」と「関節機能改善効果」が期待でき、ADLやQOLを向上することが可能な手術です。近年では、高齢化社会による老年人口の増加に伴いTKA施行患者数は増加傾向にあります。それに伴い患者さんの機能的要求や期待度も高くなり、また、メタボリック・シンドロームの啓蒙浸透といった背景から、 患者さん自身が術後にスポーツ活動を希望する方が増えています。米国膝関節学会の調査では、TKAを受けられた方の約6割が、 手術後にウォーキング、ゲートボール、ダンス、水泳、ゴルフといったスポーツ活動をしていることが判明しました。では、TKA後にどのようなスポーツが可能なのでしょうか?国内では上記の報告を受け、一般的に「衝撃性が少なく」「手術前に経験したことのある」スポーツが許可される傾向にありますTKA後の適度なスポーツ活動は、骨質改善や筋力増強、俊敏性・バランス性の獲得、体重や血圧のコントロールなど身体面の向上のみならず、リラックスや爽快さ、 達成感など精神面にも少なからず好ましい影響を与えます。一方、欠点としてはTKAの破損やゆるみ、インプラント周囲の骨折等の合併症が危惧される。
そこで我々は当院にてTKAを施行しスポーツ活動に復帰した患者さんにアンケートを含めた調査を行ってみました。その結果、スポーツに復帰した患者さんの方がスポーツを行ってない患者さんと比べて臨床成績もよく満足度が高いことが分かりました。また、スポーツ復帰後平均5年でTKAが破損したりゆるんだりする患者さんはいませんでした。以上を踏まえ、「衝撃性が少なく」「手術前に経験したことのある」スポーツであれば、筋力の回復が期待できる術後6カ月以上経過した時点でスポーツ活動を許可しています。TKA後の患者さんがスポーツ活動を希望する場合はいたずらに禁止せず、種目や適応を踏まえ、あまり過度に不安を持たず、マイペースをこころがけて楽しんでみはどうですかとお話ししています。