「東北大震災の反省」
第90回日本整形外科学会総会が「復興と再生」をテーマにして東北大学の井樋教授を会長に5月18日から5月21日まで被災した仙台で開催されました。その中で「震災時における手外科・上肢の外科の役割と反省」というシンポジウムが印象的であったのでご紹介いたします。演者は津波を被った病院の医師、少し内陸側の医師、山を隔てた山形県側の病院医師、福島県内の被災原子力発電所近くの医師、そして熊本県熊本市内医師でした。
印象に残ったのは、まず東北大震災は阪神淡路大震災と異なり圧死を含む外傷患者は死傷者全体の中では非常に少なかったことが特徴でした。外傷患者の中で地震・津波が直接の原因となるもので多かったは避難の際に転倒などで負傷した外傷でした。津波にのまれてしまった外傷患者もいたのですが溺水・津波肺を起こし、手術まで持ち込めないまま死亡という症例がほとんどだったことでした。目立って多かったのが震災後片づけでの切創でした。腱断裂などは皮膚のみ処置し、電気・水道が使用できるようになってからの待機手術が多かったようです。DMAT参加が1週間ほどするとあった中で不良肢位での固定、後遺障害を残した症例もあったという報告もありました。手術必要な患者は下肢患者から優先的に他県に移送、待機できる患者に関しては自己移動もあり、もはや統計さえ取れないということでした。切断肢・接着症例の話もありました。指が離断していても離断した指を持ってきた人はいなかった(=流されてしまった・見つからない)ということでした。震災後一か月してから震災以前月当たり接着症例の6倍程度の切断肢症例が搬送されることが続き、震災後の片づけ、他府県からの慣れないボランティア、休みなく働くライフライン保守関連職の受傷がその時期に集中発生したようです。混乱の中でちゃんとしたカルテも無くメモのようにした受付表などからの調査・報告でしたので本当に大変な発表だったものだと思います。亡くなれた方へ謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された方への支援を今後も続けていこうと思います。