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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2016年12月号

日本大学病院消化器内科の池原です。

小生は本年4月から日本大学病院でお世話になっております。時間の経過は早いものですでに8ヶ月が経過しようとしております。異動後は色々と戸惑うことも多かったですが、消化器内科・外科のスタッフの方々にサポートいただき徐々に新しい環境にも慣れることができました。また、近隣の先生方からも早速患者様をご紹介いただき、大変光栄に感じております。今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

早期大腸癌に対するESD

大腸癌は部位別死亡数で女性での第1位、男性で第3位であり、その早期発見・早期治療が重要なテーマとなっております。消化管腫瘍に対する内視鏡治療の歴史は古く、1973年のポリペクトミーに始まります。その後、局注後にスネアリングをするEMR法が考案され、上部消化管においてはStrip Biopy法やEMR-C(キャップ法)などの牽引・吸引法が考案され広く普及しました。2002年にはIT knifeが市販され、早期胃癌に対してESD(Endoscopic Submucosal Dissection)による一括切除が広く試みられるようになりました。ESDとは内視鏡から2mm程度の小さな電気メスを出して、病変の周囲粘膜を全周性に切開し、直接粘膜下層を剥離することにより粘膜を切除する方法です。手技的難易度は高いですが、高い一括切除率と低い遺残再発率から急速に全国に広まりました。一方、大腸では側方発育型腫瘍(LST: Laterally Spreading Tumor)が大きさの比べ粘膜下浸潤率が低い腫瘍であることが報告され、これらLSTに対する計画的分割切除(EPMR: Endoscopic Piecemeal Mucosal Resection)が広く施行されていました。しかし、EPMR後に局所遺残する症例が散見され、治療後の経過観察の間隔が重要なテーマとなりました。また、分割切除後の検体では病理学的深達度評価が不十分となり、予期せぬ粘膜下腫瘍様の再発を来した症例も経験されたことから徐々に一括切除による正確な病理学的評価の必要性が認識されるようになってきました。こうした背景の中、徐々に大腸LSTに対してもESDも試みられるようになり、大腸ESDは先進医療での承認を経て、食道・胃ESDに引き続き続き平成24年に保険収載されるに至りました。また、遺残再発病変においてはEMR法による切除が困難な病変もあり、こうした病変に対してもESDによる切除は有効です。

終わりに

近年、大腸ESDの手技は安定し、内視鏡治療の幅が大きく広がりました。治療前診断を行うことによりを行い、ESDの適応を決めるようにしています。また、不必要なESDを避けるため、当院では拡大内視鏡を用いた正確な深達度診断に基づいて治療適応を判断するようにしています。大腸腫瘍性病変でお困りの際は気軽にご相談頂ければ幸いに存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

消化器病センター

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