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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2016年8月号

消化器内科で診療を担当しています大久保理恵と申します。日本大学病院の消化器内科外来を週4日担当させていただいております。近隣の先生方よりたくさんの患者様をご紹介いただき、ありがとうございます。今回は、当院で導入しているカプセル内視鏡についてふれてみたいと思います。

小腸カプセル内視鏡検査

小腸は全長が6m〜7mと長く、全消化管の75%を占める体内で最も長い臓器であり、通常の上部・下部内視鏡では届かないので検査が困難なために従来「暗黒の臓器」とよばれてきました。しかし1998年にイスラエルのギブン・イメージング社(現コヴィディエン社)より小腸カプセル内視鏡が発売され、日本でも2007年に「上部および下部消化管の検査を行っても原因不明の消化管出血」が保険適応となったことにより、小腸疾患の診断は格段に飛躍しました。かつては小腸には胃や大腸に比べ病変は少ないとされていましたが、炎症・潰瘍性病変(薬剤性、放射線性、Crohn病、結核、アミロイドーシス)、血管性病変(angioectasia、AVM、Dieulafoy病変)、腫瘍・腫瘍性病変(GIST、悪性リンパ腫、ポリープ、癌、転移性腫瘍、カルチノイド)、憩室(メッケル憩室など)等多彩な疾患があることが知られるようになっています。カプセル内視鏡のサイズは、2.6cm×1.1cmで、1秒間に2枚または6枚撮影を行います。2週間以上体内より排泄されない状態を「滞留」と言いますが、滞留のリスクを軽減するため、検査前に消化管の開通性を判定するパテンシーカプセルが2012年より発売され、「クローン病病変検出と診断を含む小腸疾患患者およびその疑いがある患者」が追加適応となりました。

当院でも2010年より導入し、年間40例程度行っております。主として小腸出血の原因精査やクローン病の病勢評価に用いております。実例を挙げると、毛細管拡張症(angioectasia)からの出血(図1)や粘膜下腫瘍(図2)です。angioectasiaよりの出血に対しては、診断後速やかにダブルバルーン小腸内視鏡検査を行い、止血処置を行いました。また粘膜下腫瘍に対しては後日内視鏡を行い、組織生検にてGISTと診断されたため手術療法を行っています。出血や病変の部位を適切に知ることにより、より安全に治療を行うことが可能となっています。

 

図1   図2

大腸カプセル内視鏡検査

我が国における大腸癌の死亡率は年々増加傾向にありますが、大腸がん1次スクリーニング(便潜血反応)受診者は40歳以上の大腸がん検診対象者のわずか26.8%にとどまります。要精密検査率は5.8%であり、そのうち大腸内視鏡検査による精密検査の受診者は57.8%です。二次精査を受けない理由として、自覚症状がないこと、大腸内視鏡検査に対する受容性(恐怖心や羞恥心などの心理的要因)があげられます。大腸カプセル内視鏡検査は「怖い」「恥かしい」等の精神的な負担が少ないことが長所です。またカプセル内視鏡による径6mm以上の大腸ポリープ発見割合は感度84~91%、特異度64~94%との報告がありますので、大腸ポリープの拾い上げ診断に有用であるとされています。

大腸カプセル内視鏡の適応は「大腸内視鏡検査が必要であり、大腸ファイバースコピーを実施したが、腹腔内の癒着等により回盲部まで到達できなかった患者に用いた場合」、「大腸内視鏡検査が必要であるが、腹部手術歴があり癒着が想定される場合等、器質的異常により大腸ファイバースコピーが実施困難であると判断された患者に用いた場合」とされております。

適応と考えられる患者様がいらっしゃいましたら消化器内科へご紹介いただけましたら幸いです。上部・下部内視鏡検査も随時予約を承っておりますので、是非とも当院をご活用ください。

消化器病センター

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