本年より消化器内科医局長となりました高橋と申します。
2014年10月に新しく生まれ変わった日本大学病院も、昨年の10月で無事に開院1年を迎えることができました。開院当初は不慣れなこともありましたが、現在は新しいシステムにも慣れてきており、以前と比べるとかなりスムーズに診療が行えるようになってきたと感じています。開院後から現在まで内視鏡や超音波といった検査の件数は順調に増加しており、最近では日本大学病院へご紹介いただける患者さんも増えてきています。これも皆様のご理解とご協力あってのことと感謝しております。これからも地域の皆様のご期待に沿えるような病院を目指して、日々の診療に勤しんでいきたいと考えています。今後とも変わらぬご支援のほど、お願い申し上げます。
消化器病センターの試み
当消化器病センターは、内科と外科で構成されており、週に1度合同カンファレンスを行っており、悪性腫瘍のほか、胆石、胆嚢炎、腸閉塞といった緊急疾患などが幅広く相談されています。今回はその中でよく見られている胆嚢炎、胆管炎についてお話したいと思います。
日常診療で胆嚢結石による胆嚢炎、総胆管結石や胆管腫瘍による胆管炎を見る機会は多く、発熱、黄疸、腹痛、などが見られた場合には、胆管炎や胆嚢炎を疑って検査を進める必要があります。急性胆道炎には、東京ガイドラインという診断基準が存在します。以前は明確な診断、治療について記載したガイドラインはありませんでしたが、2007年に東京ガイドラインが作成され、改定を加えた東京ガイドライン2013(TG13)では、急性胆管炎、胆嚢炎に対する診断から重症度判定、さらにはそれに応じた治療法が示されています。胆管炎、胆嚢炎ともに、診断には血液検査や画像診断が必須となり、治療はまず保存的加療(絶食、抗菌剤の投与)を行いますが、胆管炎の場合は胆道ドレナージ、胆嚢炎の場合は緊急手術や胆嚢ドレナージ(PTGBDやENGBD)を行なうことも少なくありません。紙面の関係上ガイドラインについて詳しく述べることはできませんが、たとえ軽症であっても初期治療に反応しない場合には、緊急処置を行うことの可能な施設への転送が望ましいとされていて、それに対する搬送基準も示されています。当センターでは、内科と外科で密な連携をとって診療にあたっており、入院時の血液検査や腹部超音波での所見によって重症度判定を行ない、初期治療を検討しています。一度保存的加療を選択した場合でも、翌日以降の様子によっては緊急で手術を行うこともあり、昨年だけでも緊急で胆石の手術をした患者さんは数多くみられます。