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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2016年9月号

新病院となり二年が経とうとしております。おかげさまで消化器病センターの機能は非常に充実してきたのではないかと思っております。消化器外科一日入院患者数は30人前後と開院初期の二倍となっており手術数も月40例となりました。今後とも先生方のご支援をいただき精進してまいりますのでよろしくお願いいたします。

さて今回は経肛門的内視鏡手術についてご紹介させていただきます。この手術はTEM (Transrectal Endoscopic Microsurgery)といわれる直径4cmの硬性(金属の筒)肛門鏡を挿入して、特殊な鉗子類を使って直腸の腫瘍を切除するという方法であり、1983年Dr.Buessが報告して以来変わらず行われてきておりました。しかし、TEMでは長時間の硬性肛門鏡による肛門拡張ため、術後肛門機能の低下が報告されています。一方で単孔式腹腔鏡手術(腹部に3-4cmの創一つから内視鏡手術を行う方法)を胆石症や大腸癌に対して行っており、腹腔用の単孔式内視鏡手術とTEMの2つの特性を生かして経肛門的単孔式内視鏡手術(SILSTEM: Single incision laparoscopic surgery for TEM)を日本で最初に報告しております。これは単孔式腹腔鏡手術で使用する金属ではない軟性ポートを肛門に挿入して内視鏡下に腫瘍を切除する方法です。これにより肛門機能を保ちながら腫瘍切除が出来、これまで15例行い良好な成績をおさめており再発を認めておりません。

適応は肛門縁より5cm以上15cm以下の直腸腺腫、早期癌、カルチノイド(NET)などの粘膜下腫瘍などです。ESD症例との使いわけについては週二回の消化器病カンファレンスにて決定しておりますのでこのような直腸腫瘍についてもご紹介いただければ幸いです。

SILSTEM論文紹介:

Single-incision laparoscopic surgery used to perform transanal endoscopic microsurgery (SILSTEM) for T1 rectal cancer under spinal anesthesia: report of a case.

Surgery Today. 43(3):325-328, 2013.3

Hayashi S, Takayama T, Yamagata M, Matsuda M, Masuda H

Evaluation of three types of platforms in single-incision laparoscopic surgery for performing transanal endoscopic microsurgery (SILSTEM). Hepatogastroenterology. 61(135):1931-7, 2014.10

Hayashi S, Takayama T, Matsuda M, Ikarashi M, Hagiwara K, Suzuki T.

消化器病センター

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