急性大動脈重点病院に認定
平成29年の1月から当院は急性大動脈重点病院に認定されました。
これは東京都福祉保険局、東京消防庁、東京都医師会が主催している急性大動脈スーパーネットワークという事業の中で、急性大動脈疾患の受け入れが3年間で100例以上の受け入れ症例数があり、かつ症例数が年々増加しているという施設条件を満たしたために支援病院から重点病院へと認定されたものです。
これで都内では13施設目の重点病院となりましたが、当院は昨年の実績では90症例で、上位4位の症例数となり、特に大学病院では帝京大学病院に次ぐ2番目の症例数となりました。全ての症例をお断りせずに受け入れられるような体制作りをして、スタッフの皆様が努力した賜物と感謝いたしております。
昨年都内では急性大動脈解離は1557件病院に収容され、その死亡率は13%と高く、致死的な疾患です。
一般に急性大動脈解離は発症24時間以内の生存率は58%とされ、可及的速やかな緊急手術が必要な疾患です。当院では当科の秦光賢先生が開発したLIQR(less invasive quick replacement)法という新しい手技で急性大動脈解離の手術を行っています。これは患者の体温(直腸温)を28度に下げ、約15ほど体外循環を停止し、その間に末梢側の人工血管を吻合し、体外循環再開時はあらかじめ加温した血液を灌流するという方法です。この方法を行ってから、手術時間は従来の半分以下となり、成績も格段に向上しました。この2年間の緊急手術は連続46例全て生存退院しています。これはおそらく我が国でもトップクラスの手術成績であろうと自負しております。
急性大動脈解離はこの寒い冬の季節に多発します。最近は動脈硬化が原因で発症することがほとんどです。
急激な胸痛、背部痛や失神などが初発症状です。ぜひ急性大動脈重点病院に認定された当院にこのような患者をご紹介、あるいはご相談いただきますようにお願い申し上げます。
今後も東京都の大動脈疾患治療の基幹病院としてスタッフ一同努力してまいりますので、どうか宜しくお願いいたします。