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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2021年4月号

全世界的に新型コロナウイルスの脅威に晒され、「コロナ」という単語を聞かない日はないほどになってすでに1年が経っております。それに伴い、医療崩壊の懸念もしばしば聞かれるようになって参りました。新型コロナウイルス対策の影響で、他の疾患の対応が遅くなってしまいかねません。我々心臓血管外科領域においては、本当にあと数分で心臓が止まってしまうところだった、という超緊急症例も非常に多く見受けられます。しかし新型コロナウイルス対策のために、「今まではなんとか救えていた患者さん」というものが増えてしまう懸念があります。


この事態を受け、当院では超緊急手術が必要なほど命の危機が差し迫り、新型コロナウイルスのPCR検査結果を待てないような方についても、万全の感染対策をして手術を行える体制を整えました。すでに、当科に限らず、各科でそのような状態の患者さんを受け入れて緊急手術を行っております。


しかし、同様の疾患・同様の術式を行うにしても、「緊急手術」で行う症例と「待機手術」で行う症例では、リスクが倍以上かわってしまいます。緊急で手術をせざるをえなくなった場合、なんとか命を救えたとしても何らかの後遺症を残してしまうこともしばしばあります。さらに上記の通り医療崩壊が叫ばれる昨今、救急搬送された病院次第では、感染対策の影響で緊急手術自体できない、間に合わないとなってしまうリスクも負うことになります。そうならないためにはやはり、病気の早期発見・早期治療が非常に重要です。


我々心臓血管外科領域の疾患である「動脈瘤」や「弁膜症」といった病気は、手術を行うべき時期の見極めが専門の医師によっても難しいことが多々あり、「まだそこまで大きくないか」「まだ症状もないし大丈夫か」と思うような症例でも、精査をすると実はすでに手術をするべき時期であることがあります。また、動脈瘤は通常の診療のみでは非常に見つけづらい疾患の一つでもあり、たまたまCTを撮影したらすでにとんでもない大きさになっていた、という症例も決して稀ではありません。このような方は、何の症状も持たない状態でもある日突然大動脈瘤破裂や大動脈解離などを発症し、「緊急手術」を要する状態となってしまいます。


我々心臓血管外科医にとって、このような今まさに命の危機に立たされている患者さんを「緊急手術」で救うことは非常に重要な職務と考えております。しかし、より多くの患者さんを「待機手術」で救うことで「緊急手術」の危機を避けることも重要ではないでしょうか。


生活習慣病で安定して通院しているような患者さんの中にも、上記のように近々「緊急手術」を要するようになる患者さんが隠れている可能性があります。新型コロナウイルスによる医療崩壊が懸念される今の状況こそ、今一度患者さんの全身検索を行っていただき、そして少しでも多くの患者さんを救う力になりたいと願っております。


少しでも迷った症例があればご紹介いただきたく存じます。どのような症例でも全力で診療にあたらせていただきます。


医療崩壊が叫ばれる世の中で、「今まではなんとか救えていた患者さん」を一人でも多く減らすため、我々心臓血管外科チームは一丸となって全力で患者さんの治療にあたっております。

循環器病センター

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