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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2021年6月号

 日本大学病院救命救急センター循環器内科、救急室室長の渡邉和宏です。新型コロナ感染症によるパンデミックが始まっておよそ1年が過ぎました。これまでの皆様のご苦労はいかばかりかとお察し申し上げます。当院も新型コロナ感染症によるクラスターに見舞われたこともあり、日常診療が十分にできなかったこともありました。この1年に当院救命センターに搬送された循環器救急患者の詳細をお知らせいたします。

 2020年4月1日から2021年3月31日までに3次救急で搬送された循環器救急患者の集計です。急性心筋梗塞39人、狭心症9人、心不全43人、不整脈32人、肺血栓塞栓症1人、たこつぼ型心筋症4人、急性大動脈解離16人でした。全体として、昨年と比較して60%程度の収容状況でした。救命センターおよび循環器病棟の閉鎖に見舞われた4月、5月、12月は救急患者の応需が十分にできず、その他の月も新型コロナ感染患者収容のために1階救命センターはコロナ専用スペースとなり、CCU患者を含め一般の救急患者はすべて6階のCCU・ICUのベッドで対応しため、ベッド確保が困難となり、苦渋の決断で応需をお断りしないといけない事態にもなりました。第2波の際には、ホットラインがひっきりなしに鳴り、そのほとんどが高齢の呼吸困難および発熱の患者であったのが印象的でした。可能な限りかかりつけ患者および関連施設からの紹介には応需しておりましたが、もしかしたらご迷惑をおかけしたかもしれません。申し訳ありませんでした。その中でも何とか対応していき、現在は以前と同様に応需できるようになってきております。

 新型コロナ感染症による合併症の一つとして血栓症があります。血栓の有無の評価としてDダイマーの検査を行います。当院に収容された新型コロナ感染患者全員のDダイマー値は平均で23.1μg/ml、中央値で5.4μg/mlでした(正常値<1μg/ml)。実際、透析や補液目的に頚静脈にカテーテルを留置した患者には定期的に頚静脈の超音波検査やDダイマー検査を行っていますが、多くの患者で血栓形成を確認いたします。このため、カテーテル留置の患者には血栓予防でヘパリンや抗凝固薬(DOAC)の投与を行っています。しかし幸いなことに、血栓が確認された患者全員が、コロナ感染が回復した後に外来に受診していただくと、血栓はきれいに消失しておりました。また急性心筋梗塞や急性肺血栓塞栓症などの血栓症に関与する原因で当院に搬送された患者の中に、新型コロナのPCR検査が陽性であった患者は今のところ確認されておりません。未だに新型コロナ感染症の研究が十分ではないものの、血栓形成機序に何らかの違いがあるのもしれません。

 変異株が出現し、まだまだ感染の勢いは衰えてはおりませんが、今後も循環器救急患者の治療に貢献していきたいと思っております。もし循環器救急疾患が疑われる患者様がいらっしゃれば、ぜひ積極的にご紹介いただけると幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。


循環器病センター

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