当院循環器内科では、心エコー以外の心臓画像診断装置としてCT, MRIおよび核医学検査を駆使して患者様に必要十分な検査を迅速に実施しております。検査は疾患の詳しい情報を明らかにする目的で行いますが、個々の検査では放射線検査であれば、被ばく量を最小限度にとどめるための工夫もおこなっております。また検査時間の短縮にも取り組んでおり、受診者の皆様にご好評いただいております。
心臓CT検査では、胸痛など、冠動脈疾患が疑われる症状を訴えた患者さんに対し, 約15分程度の検査時間で冠動脈の狭窄病変を調べるほか、心臓の解剖学的な異常や心臓内の血栓(主に左心耳や左室内)を詳しい3次元画像で描出します。カテーテル検査だけでは全体像がつかみにくい複雑な解剖学的な情報をいとも簡単にわかりやすく描出するため、当院で実施する治療においても活用されています。
心臓CT検査は、上記の様な多彩な情報を得るために造影剤を使用して行う検査を指すことが一般的ですが、もう一つの簡便な心臓CT検査法として、冠動脈カルシウムスキャンという検査法があります。当院では、特に、冠動脈疾患のリスクを初めて評価する初診の患者さんなどに対し、簡単に冠動脈疾患のリスク評価を行う目的で活用しています。冠動脈カルシウム検査は、造影剤の注射を必要としない検査であり、冠動脈の狭窄などの詳しい情報は調べられませんが、動脈硬化によって血管に蓄積したカルシウムの量を測定することができます。通常の心臓CT検査よりも放射線ひばくは少なく、検査時間は10分未満で実施可能です。解析結果も迅速に確認できるため、初診の患者さんが最初に行う心電図や胸部レントゲン、採血などと併用して実施し、その後に行うべき検査の種類を判断する材料としても使うことができます。このような簡単で有効な検査を活用することで、検査の効率化、患者さんの生涯医療被ばく量の低減、医療費削減にも寄与すると考えております。
当院で行う核医学検査のうち心筋シンチの撮影については最新鋭の半導体カメラを使用しています。高感度・高エネルギー分解能・高解像度の特性により、従来の心筋シンチと比較して使用するアイソトープの量は半分以下であるにもかかわらず、きわめて安定して高画質・高精度の画像を得ることができます。また、検査時間は従来の半分程度になっており、1回の撮影時間は15分程度で行っています。心筋シンチの実際の検査では前半に負荷検査を行ってから撮影しますが、それでも30分程度で終了し、休憩を1時間弱とっていただいた後2回目の撮影は15分程度で終了してしまいます。従来の検査を経験されてから、現在当院で実施している心筋シンチを改めてご経験された患者さんの中には、簡単に検査が終了して驚かれる方もいるほどです。
心筋症や原因不明の心不全を経験された方の心臓の精査においては、MRIやPET-CTを用いた検査を実施することによって心サルコイドーシスや心アミロイドーシスなどの二次性心筋症の診断も可能であり、早期の治療介入に役立てております。
冠動脈疾患のみならず、多様な疾患が疑われる患者様の精査についての御相談も承りますので、お気軽にご連絡いただけますよう宜しくお願い申し上げます。