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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2022年6月号

 私は日本大学病院、循環器病センターのカテーテル部門において心臓カテーテル診断、治療および、下肢動脈の血管内治療、透析内シャント血管治療を行っております。また透析部門において、透析室長として透析患者さまの管理と腎不全管理をさせていただいております。

 当院は代々、循環器科医師が腎不全と透析管理をする体制となっております。循環器内科と透析内科は一見全く関係のないと思われるかもしれません。しかし実はどちらも循環管理が診療の主体であること、透析患者さまはとても動脈硬化が強く虚血性心疾患や下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を含めた動脈硬化性疾患を併存することが多くむしろ循環器内科医が管理することは理にかなっていると思われます。実際、当院のカテーテル室での全カテーテルに占める透析患者さまの割合は約4割に達しております。カテーテル内容も虚血性心疾患に対する冠動脈形成術に加え、ASOに対する血管形成術、シャント血管形成術も積極的に施行しております。

今回はその中でもASOとその治療についてご説明させていただきます。当院では年間約100例の下肢血管形成術を施行しておりますが、8割以上が透析患者さまです。ASOはそれ自体ADL、生活の質を低下させる疾患ですが、ASOが進展した場合、下肢壊疽の陥り、下肢切断にいたることが多いといわれています。下肢切断に至ったASOは一般に予後不良であり(維持透析患者さまの下肢切断後の生存率は1年後で約50%、5年後で約15%といわれております)、ASOは早期に治療介入が必要な疾患です。また透析患者さまがASOにより下肢壊疽になる確率は一般患者さまと比較し非糖尿病透析患者さまで80倍以上、糖尿病透析患者さまで450倍以上とのデータもあります。更に透析患者さまのASOは早期には自覚症状に乏しく重症下肢虚血(CLI)状態となるまで把握されないことが多いともいわれています。当院では透析クリニックと連携しASOを早期に発見、治療介入しCLIとならないよう診療を行っております。それにも関わらずCLI状態となってしまった場合はカテーテル治療による血流改善に加え、透析室において血液浄化療法による血流改善治療を行っております。以前より施行されていたLDL吸着療法は血漿分離器を用いた血漿吸着を手法とした複雑な治療法でしたが、2021年より吸着型血液浄化器レオカーナが臨床使用可能となり当院でも導入しております。レオカーナは血行再建術が困難なASO(FontaineⅣ度)における潰瘍病変に対しLDLとフィブリノゲン吸着を行うことで末梢血液循環を改善させ潰瘍治癒に効果があることが知られています。治療は1回2時間、体外循環を週2回行い最大24回施行が可能です。当院でも重症ASOに対し多数の症例でレオカーナを使用し下肢切断を回避できたと考えられる症例を多数経験しております。

 今後も透析患者さまのASO治療だけでなく、一般のASO患者さまの治療もより充実させたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。


循環器病センター

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住所

〒101-8309 東京都千代田区神田駿河台1-6 Google Map