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脳血管内治療【未破裂脳動脈瘤について】
脳ドックを受診したり、頭痛が続くために頭部MRI検査を実施したりすると未破裂脳動脈瘤が見つかることがあります。その頻度は意外と多く、おおよそ3%~6%の人に脳動脈瘤が1ヵ所見つかります。では、脳動脈瘤が見つかれば、直ちに手術しなければならないのでしょうか?もちろんそんな事は無く、5mm以下の動脈瘤の年間破裂率は0.7%以下と小さいため治療の必要はありません。生涯を通して脳動脈瘤が破裂する事がなければ、それは単なる血管の形であると考えて良いのか知れません。ただし動脈瘤がいびつな形をしていたり、ブレブと呼ばれる突出を認める場合はその限りではありません。
また長年、未破裂脳動脈瘤を経過観察していると一部の方が徐々に大きくなって破裂する事が分かってきました。約10%から15%の方が徐々に動脈瘤が大きくなります。このように動脈瘤が大きくなってきている時は破裂する確率が増します。10倍以上破裂する確率が高まると言われており注意が必要です。状況によっては早めの手術が必要と言えるでしょう。ひとたび動脈瘤が破裂するとクモ膜下出血になってしまいます。クモ膜下出血になった方の6割近くが命を落としてしまう、もしくは寝たきりの状態になってしまいます。このような重篤な状態になってしまうのを避けるためには手術を考えなければいけない場合もあります。
ただし安易に、「脳動脈瘤があるということは、爆弾をかかえているような状態だから、すぐに爆弾処理しなければいけません、手術しましょう。」という説明には同意いたしかねます。手術を受けるとなると仕事を休むだけでなく、後遺症や時には何らかの生命の危険を伴うことも考えられます。
未破裂動脈瘤が破裂すると死亡率は非常に高く、予防的な手術でも合併症の起きる確率はゼロではありません。そうなると手術すべきかどうかという決断を迫られる訳です。当科では手術をすべきかどうかという患者さんの疑問に、真摯にお答えいたします。CTおよびMRIを用いた厳密な評価と、定期的な画像検査を続けることによって、患者さんの疑問に答えられると考えています。
脳動脈瘤が疑われる際は、日本大学病院 脳神経外科へご相談・ご紹介ください。患者さんのご予約は、脳神経外科外来で受け付けております。初診から電話予約することができます。
医療機関からのご紹介は、24時間365日受け付けております。医療機関・かかりつけ医の先生方からのご相談お待ちしております。救急症例については迅速な対応を目指しており、365日24時間可能な限り救急対応、緊急カテーテル検査などを行う体制を整えております。
2023年5月1日より日本大学病院は、脳神経外科指導医、脳血管内治療指導医、脳卒中指導医として、脳卒中救急医療に長年従事してきた児玉 智信 医師 を診療准教授として迎えました。
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