メインコンテンツへスキップ

日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2024年9月号

「PSAが高い」と言われたら。

今回は前立腺についてのお話です。泌尿器科に御紹介頂いている依頼内容で、最も多いのは「PSA(前立腺特異抗原)の測定値が高い。」というものです。

そもそも前立腺とは何でしょうか(図1)。前立腺は膀胱の下方にあり尿道を取り巻く胡桃台の臓器です。尿道に開口する射精管の通りみちで射精に大いに関係します。PSAは①分子量3334kのセリンプロテアーゼ。精液の粘度を調整して精子運動を補助。②前立腺癌のとき上昇するため、腫瘍マーカーとして用いられる。

炎症や前立腺肥大症などでも上昇。 ③4ng/ml以下が正常。などの特徴があります。

さて検診等でPSA4ng/mlを超えていた場合、泌尿器科に紹介ということになります。一般にはまずMRI検査(できれば造影)で「前立腺癌の陰」がないか検索いたします(図2)。現在は放射線の先生がPI-RADS

(prostate imaging and reporting data system)スコアという「前立腺癌疑いの程度」の5段階の数字をつけてくれます。大まかに言うと段階12では経過観察、3は灰色、45はさらに精査、具体的には12日入院で前立腺生検という組織検査をお勧めしています。これは手術室で横向きに寝て、おしりから経直腸的超音波で前立腺をよく観察、局所麻酔下で針生検(通常14カ所)を行います。所要時間は15分ほどです。こうして得た検体を病理検査室で診断、前立腺癌かどうか決定いたします。前立腺癌には3段階の悪性度があり、この悪性度に合わせた治療を行います。