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日本大学病院

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ニュースレター

2025年02月号

悪性グリオーマ MET-PET検査による脳腫瘍の診断

日本大学病院では、保険適応された11C‐メチオニン(MET)が稼働しています

腫瘍と正常脳の境界は不明瞭で、腫瘍の細胞は正常な脳にしみこんでいるため、神経症状を悪化させずにできるだけ多く腫瘍を切除するためには病巣の広がりを把握することが治療方針決定の上できわめて重要です。

メチオニンPETによって神経膠腫の病巣の範囲を正確に知ることができます。脳腫瘍の治療前評価や、化学療法中の効果判定、さらに放射線治療後の壊死か再発かの判定に有用です。

メチオニンPETは脳腫瘍の治療経過中の評価にも有用で、再発の有無を適切に評価することができます。MRIで病変が明らかでない病変をメチオニンPETで指摘できることもあります。

他の画像診断では見分けづらい放射性壊死などの部位と腫瘍を鑑別出来るため、放射線治療(ガンマナイフなど)の治療計画や、治療方針の決定に有用です。

造影MRI、CTと比べ腫瘍の範囲を適切に評価しえ、腫瘍再発と放射線壊死の鑑別にも優れるとされる検査です。

 

原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍

腫瘍が頭の中から発生する場合は原発性脳腫瘍、肺がんや乳がんなど他の臓器から飛んできた場合は転移性脳腫瘍と呼ばれます。

原発性脳腫瘍には、脳の中から発生する腫瘍(脳実質内腫瘍)と、脳の外から発生して脳を圧排する腫瘍(脳実質外腫瘍)に分けられます。

世界保健機関(WHO)は、手術で摘出した腫瘍を顕微鏡で観察した情報と、遺伝子の異常によって原発性脳腫瘍をグレード1からグレード4の4段階に分類しています。

原発性脳腫瘍である神経膠腫には星細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫などの種類があり脳から発生する腫瘍のおよそ25%を占めており臨床的にはすべて悪性脳腫瘍に分類されます。

 

原発性脳腫瘍のグレード

グレード1(毛様細胞性星細胞腫)やグレード2(星細胞腫や乏突起神経膠腫など)に比べて、グレード3(退形成星細胞腫や退形成乏突起神経膠腫など)やグレード4(膠芽腫)は悪性度が高く、とくに悪性神経膠腫は通常画像で見える範囲よりはるかに広い範囲に早期から腫瘍細胞が進展しています。

グレード3とグレード4のものを悪性神経膠腫と総称します。グレード4には膠芽腫、髄芽腫、胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫などがあげられます。一方、グレード4といっても、例えば、髄芽腫や胚細胞腫瘍の中には有効な治療法がある例もあるため、全て予後が悪いというわけではありません。

グレード4の腫瘍は、腫瘍が大きくなるスピードが速く、周りの正常な脳にしみ込むように発育し(浸潤性発育)、腫瘍と正常な脳の境界が不明瞭です。膠芽腫は、予後が不良な腫瘍の一つで60歳前後に多く発生します。

 

膠芽腫(悪性グリオーマ)の治療

膠芽腫に対して手術、化学療法、放射線治療などのさまざまな治療を行ったとしても、予後が悪い理由は、膠芽腫の腫瘍細胞は、増殖するスピードが非常に早いこと(高い増殖能)と脳に染み込むように進展し、正常な脳と腫瘍の境界がはっきりしない(破壊性浸潤)ことにあります。

膠芽腫に対する治療は、手術による最大限の腫瘍摘出と化学療法(内服)および放射線治療が治療の骨格です。手術での腫瘍摘出率が高ければ高いほど生存期間、予後が良好になるとされています。

手術後に化学療法及び放射線治療を、退院後に外来で、維持療法として化学療法薬を内服しますが、膠芽腫の予後は極めて不良であり、様々な治療が試みられています。

中枢神経系悪性リンパ腫は高齢者に多くみられ近年増加傾向です。認知症などの精神症状で発症することが多く、造影MRIにて均一な強い増強効果を示します。

化学療法は多剤併用の化学療法の有効性が報告されています。

 

膠芽腫手術症例①

 手術前

 手術後

症例②

  手術前

手術中(腫瘍腔への抗腫瘍剤留置)

 

症例③ 術前2週間の間に急激に腫瘍サイズが増大した症例

 手術前

 手術後

 

日本大学病院では、脳腫瘍や手術が難しいとされる頭蓋底疾患の治療をはじめとして、あらゆる脳神経外科疾患の治療に取り組んでいます。

 

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