小腸内視鏡検査について
消化管出血の原因精査で上部・下部消化管内視鏡検査にて出血源が同定できない場合、小腸からの出血が懸念されます。小腸の精査、治療はダブルバルーン内視鏡を使用しますが、このダブルバルーン内視鏡は2024年2月に当科に就任されました三浦教授がおられた、自治医科大学で開発されたものになります。当院での小腸内視鏡件数は2023年度4件程度でありましたが、三浦教授が就任されてから積極的に小腸内視鏡検査も行っており、2024年度は21件と件数が増えております。
小腸内視鏡は内視鏡にバルーンの付いたオーバーチューブを取り付け、内視鏡の先端にもバルーンを装着し、この2つのバルーンで小をジャバラのようにたぐり寄せて6-7mの長い小腸の観察を可能にします。ただ小腸をたぐり寄せるのも4m程度が限界であり、通常は経口と経肛門に分けて全小腸を観察します。
ここで当院で行った小腸内視鏡の症例を提示します。
症例① 78歳男性
Hb8.7g/dLの貧血精査のため近医クリニックから紹介となった。CTで小腸に壁肥厚を認め小腸内視鏡を行った。バウヒン弁から3m口側に30mm大の1型隆起病変があり、生検で悪性リンパ腫の診断となった。
症例② 74歳男性
他院でIgA血管炎と診断されプレドニゾロン50㎎/日投与されていた。その後から暗赤色便を認め、上下部内視鏡検査を施行したが出血源なく、小腸出血の疑いで当院転院となった。小腸内視鏡検査を施行したところ上部空腸に潰瘍が多発しており一部の潰瘍から漏出性出血を認めクリップで止血した。
当院では小腸内視鏡検査も積極的に行っておりますので、上下部内視鏡検査で出血源の不明であった症例などもございましたら当院にご紹介いただければ幸いです。