上部消化管診療のご紹介
暦の上でも立冬を迎え,冬の訪れを感じる日々が続いております。日本大学病院消化器病センターでは,最善の治療を安全かつ的確に患者さんにご提供できるよう日々の診療に勤しんでおります。日本大学病院で病棟担当(オーベン)を務めさせていただいております、岩田亮平と申します。
当科では消化管疾患,肝胆膵疾患,腹部緊急疾患などを幅広く診療しております。全てのステージにおける食道癌,食道胃接合部癌,胃癌,十二指腸癌に対する標準治療に加えて,胃癌腹膜播種症例に対する腹腔内化学療法(自由診療)を行なっており,全国から紹介を受けています。全身化学療法に加え腹膜転移のコントロールを重点的に行い,根治を目指したConversion surgeryを視野に入れた治療を行なっております。
胃癌腹膜播種に対するconversion surgeryは胃癌治療ガイドライン第7版では“現時点ではエビデンスに乏しく推奨できない”という位置付けであり、標準治療ではありません。しかし、日中韓で行われた国際他施設後ろ向き研究(CONVO-GC-1)の結果、他遠隔転移がない胃癌腹膜播種のうちR0切除(59.6%)が得られた症例の全生存期間中央値は44.8ヶ月と良好な結果であったことから更なる検証が必要な領域です。当科で治療下胃癌腹膜播種の患者さんの約4割(14例)がconversion手術を受けています。R0切除率は71%で比較的良好でした。現在中長期的な予後の追跡を行なっている最中です。
食道切除では縦隔鏡を用いた非開胸食道亜全摘術を行なっています。分離肺換気が必要ない術式で,術後の呼吸器合併症の発生が胸腔を介する従来術式に比べて低率です。また,胃粘膜腫瘍や高リスク胃癌患者さんにはLECS(Laparoscopy Endoscopy Cooperative Surgery)による胃局所切除を消化器内科と合同で行っており,患者背景に配慮した治療を心がけています。他,食道裂孔ヘルニアの腹腔鏡治療や病的肥満症に対するbariatric surgeryも行なっております。
上部消化管疾患に対して診療上お困りになる症例がありましたらいつでもご紹介いただけたら幸甚です。引き続き皆様との良好な連携を継続していきたいと願っております。よろしくお願い申し上げます。