急性期の虚血性心疾患診療と当院の取り組み
当院に患者さんをご紹介くださる近隣の先生方、いつも大変お世話になっております。
2025年1月より日本大学病院で勤務しております藤戸 秀聡と申します。
私は、2024年末までアメリカ、ロサンゼルスへ留学し、循環器疾患の診療および研究に従事しておりました。本年からは当院CCU(Coronary Care Unit)で急性期診療を中心に働いております。
CCU診療において遭遇する疾患は多彩ですが、中でも急性心筋梗塞(AMI)は緊急性が非常に高く、心臓カテーテル治療が発達した現在でも院内死亡率 約7%と高く、予後不良な疾患です (Ishihara et al Circ J 2015)。そのようなAMI診療の中で最も重要なことは、ご存知の通り発症から血流を再開させる(再灌流)までの「総虚血時間」をいかに短くするか、になります。当院では救急外来からカテーテル室までの導線を最適化し、少しでも早く治療に臨めるよう体制を整えております。さらに心室細動といった緊迫した状態に陥っても、救命救急科医師をはじめとし看護師、放射線技師、臨床工学技士、薬剤師がみな一丸となって迅速に対応しております。心室中隔穿孔や左室自由壁破裂といった致死的合併症を来す症例もありますが、そのような厳しい場面でも心臓血管外科の先生方と親身に相談ができる環境が整っていることが当院の大きな強みであると感じております。またAMI発症後、身体機能が著しく低下してしまうことも少なくありませんが、心臓リハビリテーションチームの理学療法士が積極的に介入し、早期の社会復帰に向けた支援を行っています。
このようにチーム一丸となって診療することで患者さんが致死的AMI発症後も生存し、早期退院・生活の質が回復可能になるということを日々実感しております。
AMIは急性期を乗り越えても、慢性期にも心不全発症リスクという課題を残します。当院では内服調整だけでなく、虚血性心疾患の心事故リスク層別化のための核医学検査、心臓CT検査、心臓MRI検査などの画像診断にも力を入れております。心臓画像診断学を専門とする医師による読影・考察も踏まえ急性期から退院後、そして慢性期まで多角的・包括的に虚血性心疾患の管理をおこなっております。
このような診療体制には何よりもまず、発症早期に携わってくださる近隣の先生方の協力あってのことと改めて感謝申し上げます。AMIを疑う症例、12誘導心電図で虚血性変化かどうか迷う症例、症状は安定しているものの狭心症が疑われる症例等、ぜひお気軽に当院へご紹介ください。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。