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留学・国際交流

ラッペンランタ大学 植木将太さん(生物資源科学部)

2018年5月

街を覆っていた雪は瞬く間に溶けてしまい、本格的な春の訪れを感じると同時に美しかった雪景色をこれ以上見られない寂しさに駆られています。
先月末にすべての授業が終了し、試験期間に入りました。LUTに限ったことではないと思いますが、試験のシステムが少し日本と異なり、履修登録の際に講義とは別に試験の項目も同時に登録しなければいけません。科目によりますが試験は1~3回受けることができ、これらはおそらくほかの試験科目との重複を避けるため、また病気やけがでやむを得ない時のためで、今回私が履修した講義の中であるものは秋学期に2回と春学期に1回、あるものは春学期の期末試験に2回だけ、と様々です。秋学期に開講される科目は春学期のテスト期間に3回目のテストが実施されることもあり3回のものが比較的多く、春学期に開講される科目では1回のみのものが多く、3回目もしくは2回目のテストが9月に行われることがあります。仮に1回で試験をパスできなかったとしても何回かチャンスはあり、これも例外ではなく、成績があまり良くなかったからもう一度試験を受けるよという学生も少なからずいます。そしてもし3回受けてパスできなかった場合の最終手段としてはその科目の担当教員と相談し特別措置を受けるという形になりますが、これについては単位取得が保障されているかどうかは定かではありません。この措置は合格基準にわずかに及ばなかった者に単位取得の可能性があるのではないかと思います。
大学1,2年生は留学しても留学中に就職活動について考えることはあまり無いかもしれませんが、3,4年生ともなると留学期間と日本の就職活動時期が重複することがあるので留学しながら就職活動をしなければなりません。そこで海外留学生向けにキャリアフォーラムというイベントが世界各地で開催されており、ヨーロッパ圏ではロンドン(企業数約30社)に、アメリカ周辺ではボストン(企業数約200社)に有名な日系企業や外資系企業が出展し、短期留学、語学留学、交換留学、そして海外正規留学生が集まります。その他主要都市である、上海やシドニーでも開催されています。選考プロセスは企業によって異なりますが、Web上で履歴書またはエントリーシートを提出し、Skype面接や電話面接、そしてキャリアフォーラム当日(基本的には土曜日曜の2日間開催)に数回面接をして採用という流れが一般的です。留学生活と並行してどれだけ準備できるかが内定を得るカギになると思います。
LUTに留学する期間のうちでおそらく最後に向かえるであろう祝祭日であるメーデー(フィンランドではヴァップ Vappuと呼ばれる)が5月にあり、フィンランド各地で色鮮やかなオーバーオールに身を包み、伝統的な白い水平帽をかぶった学生たちが街に溢れ、天候に関係なくピクニックを楽しみます。当日は私もこのような衣装を着た友人たちとBBQをして過ごしました。
市立図書館です。CD、DVDの貸し出しもしていて、ハードロックやヘヴィメタルの数が多く、フィンランドらしさを感じました。
夜の10時でこの明るさです。
お気に入りの場所です。眺めが良くリラックスできます。
帰国が間近に迫っているので試験勉強とともに帰国準備をしなければならず、忙しい日々ですが残された貴重な時間を後悔の無いように過ごしたいと思います。

2018年4月

早いもので帰国まであと1か月となりました。長い冬が終わり、春を迎え、気候が少々穏やかになったからか人々の表情にも心なしか活気があるように見えます。
さて、今期履修している中のいくつかの授業はすでに終了しているものもあり、残す月末に控える試験勉強やレポートなどの課題に取り組んでいます。成績評価は授業によって異なり、毎週出される課題を8割またはすべて提出しないと成績評価に至らないもの、グループワークやプレゼンテーションが成績評価の大半を占めるもの、試験の成績が100%のものと様々です。それぞれ偏りはないので日本でのものと少し違った体験ができると思います。今期私は試験100%のRenewable Energy Technology、レポートと試験50%ずつのEnergy Efficient Environment、課題の8割提出が前提でそのうえ試験100%のEnergy Efficiency、そしてグループプレゼンテーションが80%、出席が20%のEnglish Communication Engineering and Professional、の専門科目3つに英語のクラスが1つの計4科目を履修しています。下記のサイト、LTKYという、THE STUDENT UNION OF LAPPEENRANTA UNIVERSITY OF TECHNOLOGYが運営しているサイトにて試験の過去問を閲覧することができます。(TOP→OPERATIONS→EXAM ARCHIVE)
https://ltky.fi/?lang=en 
このサイトでは学校生活全般、寮(LOAS)、市内についてなど様々な情報を得ることができます。
先日英語のクラスでのプレゼンテーションを終え、先生をはじめ、他のグループと評価しあうのも授業の一環だったので他の生徒からも評価をいただいたのですが、話すことをあらかじめ準備して臨んだことが裏目に出たのか話す内容が難しくあまり理解できない、聴衆と会話するかのようにプレゼンしたほうが良い、重要な情報は指さしでわかりやすく伝える、など非常にダイレクトなもので勉強になったと感じました。もちろん満足のできる発表ではなかったので悔しさもあったのですが、留学前に比べどれだけわかりやすく伝えるかに重点を置き、できないことにいちいち落ち込まなくなったのを実感し、少し成長したなと感じています。
3月初旬にオーロラ観測で有名、さらに日本人観光客も多く訪れるラップランドのサーリセルカという場所に行きましたが、まさか2度もラップランドへ行くなど考えてもいませんでした。またもや天候に恵まれず、オーロラを見ることはできなかったのですが、2度目の犬ぞりや、伝統的なスモークサウナなどオーロラ以外は思い残すことのないほど充実した旅行になりました。フィンランドで見るオーロラは天候を考慮すると晴れる日が比較的多い2,3月が最も適した月だとされているらしく、混雑度もこのシーズンにピークを迎えるそうです。可能性は低いと思いますが条件が合えば比較的南部の都市でも観測することは可能で去年の10月末にラッペンランタでも観測されたそうです。
フィンランドの大きな連休として3月下旬または4月上旬にイースターという祭日があります。イースターの時期が近づくと子供たちが魔女や魔法使いに仮装し、家々を訪ね、お菓子やイースターエッグを集めています。イースターエッグは生命の始まりを象徴し、イエス・キリストが十字架上で亡くなってから3日目に復活され、このことから復活祭とも呼ばれています。ヒヨコが殻を破って生まれてくるように、キリストも死という殻を破って甦ったことを意味しているようです。ラム肉やマンミというクリームや砂糖と一緒に食べるライ麦のプリンが伝統的な食べ物で、サルミアッキ同様フィンランド人でも好き嫌いが分かれるそうです。
スーパーで売られていたイースターエッグ達です。フィンランドのお菓子メーカーで有名なFazerのイースターエッグは一般的な中におもちゃが入っているものとは違い、本物の卵の殻に近いもので覆われており、中は全てチョコレートで作られています。

2018年3月

2月に入ってから晴れの日がひと月の半分以上を占めるほど急激に増加しましたが気温は下がる一方で、2月下旬に訪れた寒波の影響で私の留学史上一番寒いと思われるマイナス24度にまで到達し、現地に住んでいるであろう人々の寒がっている様子を見て、現地人でも寒いものは寒いんだなと実感すると同時に、よくよく考えてみれば最高気温ですらマイナス10度あたりなのも甚だおかしなことだなあと思いました。
さて、約半年間生活を通してフィンランドの文化について興味深いことがいくつかあったのでお話ししたいと思います。
一つはパーソナルスペースが広いこと、知っている人もいるかもしれませんがフィンランド人のパーソナルスペースはとても広く、例えばバス停でバスを待っているときに前後の人と2~3メートルは離れています。ヘルシンキではそうでもないけれど、田舎の方に行くほど広く感じるけど文化だから詳しいことは良く分からないと友人も言っていました。
二つ目はフィンランド人の一般的な性格についてで、フィンランド人の性格は日本人と似ているところが多いと感じました。日本でよく言われる人見知りと近いものがあると思われ、人によりますがほかのヨーロッパ諸国から来ている留学生に比べフィンランド人は話してみると面白い人が多いのですが、感情をあまり表に出さず寡黙で静かな人が多いというような印象です。
これらはFINNISH NIGHTMARES という本でも紹介されていますが実際に目にして体験するととても興味深く、実際にフィンランド人に聞くことができるので一層理解が深まります。
こちらに来てから毎日のように自分は何者なのか、上でも述べたように様々なことに自問自答する時間が増え、留学に正解不正解はなく、それぞれ形作っていくものがどれも素晴らしいものになると改めて感じていて、自分にとって留学は人生の通過点に過ぎないのですが、将来を考える必要な時間であると思いました。
 
2月には大きな試験もレポートも特になく、様々なアクティビティに費やしました。友人たちとスキーに行ったり、パーティーに参加したり、フィンランドで第二、第三の規模を誇る都市であるタンペレ、トゥルクに訪れたり、フランスに旅行したりと充実していました。特にタンペレは非常に興味深い都市で、ひと昔前に栄えた工業都市として特徴的なレンガ造りの建物が連なっており、現在ではその外見を保ったまま内装はショッピングセンターや映画館などに使用されている建物もあり、ヘルシンキやほかの都市とは全く異なった姿に歴史の変遷を感じました。
Myllymäkiというラッペンランタから30分ほどで行くことができる一番近いスキー場です。フィンランドは地形的に標高の高い山が少なく、このスキー場もほぼ丘に近いものでしたが天気も良く、友人たちといったので楽しむことができました。英語よりスキーのほうが上達していて困っています。
タンペレにあるムーミン美術館です。館内は写真撮影禁止だったので様子を伝えることはできませんが、作者であるトーベ・ヤンソンをはじめ、各シリーズについて順番にタブレットで解説を見ることができます。日本人スタッフ、日本語のガイドもあるので深く内容を知ることができて、あまり詳しくなかった私にとってはとても助けになりました。
今月から新たに始まる授業もあり、平日は今のところ毎日授業があるような忙しい日々となっていますが留学生活の終わりが見え始めているのでしっかりやるべきことを自分のペースでやっていきたいと思います。

2018年2月

去年のうちに冬至が過ぎ去り、心なしか日が伸び、太陽が顔をのぞかせる日も増えてきたように感じています。ですが気温は下がる一方で-10度を境に気温が上がったり下がったりを繰り返しています。私としてはここまでくるとさすがに寒いと感じるのですが、フィンランド人の友人によると温暖化の影響で年々平均気温は上がっていてそんなに寒くはないとの事です。また、春学期が始まり冬休みの穏やかな雰囲気から一変、忙しくなった日々に少々苦戦しており、いくつかの授業は朝の8時から開始されるものもあり暗い時間に起床し活動しなければなりません。日本ではこのようなことはあまりなかったのでこれもいい経験になると思っています。
春学期は秋学期に比べコミュニケーションやディスカッション中心の授業をいくつか取っています。中でもEnglish Communication for Engineering and Professionalsという授業は20人程のクラスで、留学生はおろか自分以外全員フィンランド人というなんともチャレンジングな授業を履修しています。毎週出される宿題や授業内容に沿ってディスカッションを行うものとなっていて、はじめは恐れ多かったのですが、秋学期に会話に慣れたことで、見当違いなことを言っている時も多少ありますが意見を述べたり、ディスカッションを辛うじて行うことができています。最初の授業でAIは従来の学校の先生に代わって教育を行うことができるかというトピックに対し、大多数が可能だという考えを持っていて、さらにそれぞれのアイデアがユニークさを持ち合わせており、エンジニア向けということもあって古き良き伝統を重んじる日本の文化とは違い、皆新しい分野には先進的であることがわかります。他にもセスナ機が開発当初から姿形を変えない最も理に適った小型飛行機であり、自立型有人ドローンの発展の基礎ともいえることや、完全自立・自動走行車の実現についてなど興味をそそられるものが多いです。また、ある授業ではビジネスの場面を想定し開発した画期的なデザイン、機能を持ち合わせたドローンへの投資を製造者と投資家のグループに分かれシミュレーションを行いました。開発側は技術を売り込み、投資側は最も優れているものを選ぶのではなくニーズに合ったものをいくつかの開発側のプレゼンに対し選択しグループ内でディスカッションを行い決定するもので、このような形式の授業は初めてだったのですが新鮮な体験をさせていただきました。このほかにも授業の内容は面白いものばかりで、私が留学した目的の一つである先進国家であるフィンランド人の考え方も知ることができるので私にとってはとても有意義な授業となっています。
また、その授業では留学生が私一人だけということもあり、意見を求められたり日本についてしばしば聞かれますが、電子タトゥーの話題になった時、結構日本のことを知らないなとここで感じました。授業に限ったことではありませんが、例えば現時点では比較的注目を集めている原子力発電や北朝鮮問題をはじめとする政治・経済の問題からサブカルチャーであるアニメや漫画の話題、そしてタトゥーや仏教など社会・宗教的な問題など、表面的なことは知っていても様々なことに対する過程や歴史、成り立ちなど中身の情報が欠けていると留学した時に多少なりとも困ることがあると思いました。事実、原子力発電について詳しくなったのもこちらに来てからのことで、それ以外のことは疑問に思わない限り深くを知ることはできませんが、これら全てを知ろうとして多く時間を割くこともあまり理想的ではありません。日ごろから常に疑問に思うことが大切だと感じました。
 
友人と大学近くの凍った湖の上を歩きました。2枚目の写真は湖から大学方面を撮影したもので、LUTの風車が見えます。

2018年1月10日

明けましておめでとうございます。時が経つのは早いもので、残りの留学生活も折り返し地点に差し掛かりました。秋学期のみの留学生が帰国し、私の友人達もお別れパーティーで別れを惜しみつつ帰国してしまいました。

試験結果
12月には秋学期に履修していた英語のクラスの結果や専門科目の試験結果が返ってきました。結果から言いますと英語のクラスはすべてパスし、単位を取得することができましたが、専門科目のほうは5段階評価中3と決して良い成績ではなかったものの、単位を取得することができました。ですが、修士レベルの内容で背景知識も少ない、さらには結構な数の人が落とすような難しい試験をパスできたことはかなりの自信になりました。またある英語のクラスで9月と11月にエッセイを提出していてその添削と評価を先生から頂いた時に「9月の方は何を言っているかよくわからないけど、11月の方はわかりやすいしとてもよくできている。もしかしてGoogleの翻訳ソフト使った?」と言われるほどにWritingは伸びていた…のかどうかわかりませんが、そのような評価を頂きました。自分では実感はありませんでしたが、油断せず励みとして勉学に勤しまなければいけないと思いました。

FINLAND CELEBRATES 100 YEARS OF INDEPENDENCE IN 2017
2017年12月6日、フィンランドは独立100周年を迎えました。19世紀以前、フィンランドはもともとスウェーデンの統治下にあり19世紀初期にロシアとスウェーデンの間でフィンランド戦争が勃発し、スウェーデンが敗戦、そしてフィンランド全域がロシアの統治下となりました。その間ロシアはフィンランドに対し自治を認めたが強圧的な統治のためフィンランドの民族意識は高まりつつありました。そして1917年、ロシア革命でのロシア帝国滅亡により12月に独立を宣言、1919年に共和国憲法を制定しフィンランド共和国になりました。
当日は花火があがったり、フィンランドの電話番号を使用するすべての携帯電話宛てにテキストメッセージが送られ、フィンランド中の建物や世界中の都市がフィンランドの国旗でも使われている青と白でライトアップされていたそうです。というのも、独立記念日の1週間後に試験を控えていたのでヘルシンキに出かけることはしませんでしたがラッペンランタでも様々なイベントが行われていて、LUTではフラッシュモブが行われていました。

Christmas
12月に入ると同時に町は一気にクリスマスモードに入ります。あちこちでイルミネーションの色鮮やかな装飾が日照時間の短くなった暗い街中や沈みがちな人々の心を照らし、スーパーでは家族や友人に送る一つのギフトとしてチョコレートが山積みになって売られていました。また、街中で小さな露店が並ぶクリスマスマーケットが12月からクリスマス休暇(毎年12月24~26日はクリスマス休暇でほとんどのお店や公共交通機関は止まってしまい、町はとても静かになります)の前まで開かれていて、期末試験が終わった後ヘルシンキに行ってきました。フィンランド人の友人によるとクリスマス休暇は家族で過ごすことが多いそうです。
New Year, New Year’s Eve
大晦日と新年はヘルシンキで過ごしました。フィンランドでは大晦日は1年のうちで唯一花火を打ち上げることが許可されている日であり、18時あたりになるとあちこちで個人が買ったと思われる打ち上げ花火が上がっていました。カウントダウンが行われる広場では子供や家族向けのショーからライブ、市長のスピーチそして花火と存分に楽しめるものでした。1時間前になるとテレビ中継もされ、たくさんの人々が集まってきます。そして年明けと同時に花火が上がり、お酒やシャンパンを飲みながら新年を祝いました。

2017年12月6日

気温が日中でも0℃を上回ることはほとんどなくなり、朝が来たと思ったらもう夕方かと思うほどに日照時間の短さには少々驚かされていますが、こちらの気候にもだいぶ順応して来たなと感じています。早いものでこちらに来てから3か月が経過し期末試験が近づくと同時に半期の留学できている学生たちは帰国の準備を進めています。
11月はひたすらエッセイを書いていました。1つはAcademic Writing in Englishというエッセイの書き方を学ぶ授業のもので、なるべく専攻が近い人とパートナーを組み、専攻に沿ったテーマを設定し、期限までに書き上げるものとなっています。今回私たちは核エネルギーの危険性というテーマで福島、チェルノブイリの原子力発電所の事故について比較をしながら人体への影響を考えた核エネルギーの利用法及び検討について書くことにしました。パートナーと相談した結果、このテーマのほとんどを私が提案したということで文章の大部分は私が担当し、その訂正とチェルノブイリの事故についての詳細をパートナーが担当することになりました。福島、チェルノブイリの事故がどのようにして起こったか、基本的なエネルギー生産メカニズムや自然や動物への影響、動物は放射能による遺伝的な影響を受けやすく、福島周辺に生息している鳥類や昆虫類の突然変異、奇形の個体が増加したこと、また、人間への遺伝的影響は確認されておらず、むしろ身体的影響によるものが強く、放射線を受ける器官、量によって種々の症状がありますが、代表的な物としてはがんや白内障が知られていて、人間への細かな影響についても改めて知ることができました。この授業に限ったことではないのですがこのようにペアワークを行う際はこまめにコンタクトを取りお互いの進捗状況の確認をすればタイムマネジメントがしやすく作業も捗り、先生とも話し合いアドバイスをもらうことで授業では理解しきれなかった場所の指摘をもらうことができ、質の向上につながります。私が福島の近くに住んでいて地震と放射能が怖かったと話すと深刻な表情で心配してくれました。
もう1つもIndependent Study in Englishという英語の授業のもので、こちらは再生可能エネルギーの世界的な技術の発展や効率的な利用法についていくつかの参考文献をもとにして一人で書き上げるものとなっています。再生可能エネルギーを利用する主な目的としては温室効果ガス削減で有限である石炭、石油、天然ガスの利用をこれらのエネルギーに代替することで資源の枯渇も避けることができます。中でも中国での風力発電、太陽光発電の発達が著しく、直に世界をリードしていく国になるだろうとこの国の目覚ましい発展に驚くばかりです。
 

また、今月は3日間スウェーデンのストックホルムへ旅行してきました。フィンランド中からやってくる1600人ほどの留学生が大型のフェリーに乗り、12時間ほどかけてヘルシンキからストックホルムへ向かいました。往復すると24時間船の上で過ごすことになりますが、船で宿泊する際に同じキャビンで会ったルームメイトがとても面白く気の合う人だったので一緒に食事をしたり、部屋でも会話しているだけでも楽しかったです。道中でアクシデントがあり到着が大幅に遅れ3時間しか観光はできなかったのですが、ストックホルム大学に留学している友人にガイドをお願いしていたので大変充実した時間を過ごすことができました。ガムラスタンというストックホルムの旧市街やストックホルム大学、市内を訪れ、ガムラスタンはカラフルかつ古き良き趣のある建物が多く、あの有名なジブリ映画“魔女の宅急便”のモデルとなった町として知られています。またストックホルム大学はスウェーデンの首都にある大学だけあって私の留学している大学と比べるととても大きく、都会であることの利便性に羨むばかりでした。

11月下旬にはフィンランドのラップランドにあるLeviという場所に行ってきました。人生でおそらくこれ以上北極に近い場所に滞在することはないでしょう。ラップランドはノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北部およびロシアの北西隅にまたがるヨーロッパ最北部の地域のことで、サーミ人が居住し、大部分が北極圏内に位置しており、サンタクロースがいることで有名なサンタクロース村にこの北極圏の境界線が引いてあります。自由時間のほとんど、二日連続で、最終日の出発時間ギリギリまでスキーに費やしました。Leviにあるスキー場はオリンピックでも使われることもある様々なコースが用意されている広大なスキー場で、ゴンドラで一緒になった地元の方の話では白い雪をかぶった樹木が立ち並ぶ白い平原の美しさに魅了され“ラップランド・マジック”にかかり地元からはもちろんフィンランド中から人々が集まるそうです。この旅行では様々なアクティビティがあり、二度とできないような貴重な体験をさせてもらいました。すべてを紹介したいところなのですが、LUTに来てからのお楽しみということにしたいと思います。
Leviの街です。

ラッペンランタは田舎のほうにある町のため、日々が単調になってしまいがちで、冬場は太陽の光を浴びることができず気分的にも落ち込みがちになり、ストレスとの付き合い方が非常に大事なのですが、このようなイベントを気分転換のいい機会として使うことで日ごろの勉学にも身が入ります。12月中旬には期末試験が控えているので気持ちを切り替えて頑張っていきたいです。

2017年11月5日

10月上旬には紅葉していた葉もすっかり落ち、11月に入って気温は早くも氷点下に達し、雪の降る頻度が増え、大学付近にある湖が凍り始めました。こちらの冬は湿度が高いので、湿度が低く身を切るような冷たい風が吹く関東より体感的には寒くはないと感じました。また、サマータイムが終了し日本との時差が1時間拡大しました。サマータイムが終了した当日は1時間長くなったのでなんだか得をした気分になりました。
LUTでは秋学期と春学期の二つのセメスターに分かれており、それらの学期ごとでも前半と後半の2つのピリオドに分かれており、細かく分けると秋学期と春学期で2つずつ、合計で4つのピリオドがあり、切り替わる時期は試験期間となっています。日本でいう中間試験、期末試験と同じ感じだろうと思います。今回は履修していたBioenergyの試験がありました。成績評価が試験100%の科目ですべて記述式、さらに初めて受ける試験なのでどんな風に勉強したらいいかわからず、同じ授業を取っている友人たちにも聞いてみましたが、友人たちも覚えること多すぎるし難しくてわからん、といった様子だったので重要なところを中心に学習し、ある程度は自分の力でやるしかありませんでした。実際覚えることはとても多く授業のスライド約600枚、関連記事約500ページを読み込んでいました。もちろんこれらすべてが文章で埋め尽くされているというわけではなくグラフや表も含まれているので勉強する前から心が折れることはありませんでした。結果はまだわかりませんが無事にパスできていることを願っています。
試験期間に限らず図書館で勉強している人はたくさんいて、もちろん好きで勉強している人が大半だと思いますが難しい試験のために勉強しなければいけないというのも外国の大学生が勤勉である理由の一つだと思いました。彼らは自分のやりたいことに対して忠実で、年齢問わず大学や大学院で勉強しています。その点が日本人である私の考えからすると何にも縛られず自由に生きているなと刺激を受け、人生について少し考えさせられ、もっと自由に生きていいのだと彼らを見ていて感じました。
さて、10月はESN主催のロシア・サンクトペテルブルグに5泊6日で行ってきました。ヘルシンキからフェリーを使って行ったので、ほとんどは移動日でしたが、世界三大美術館としても有名なエルミタージュ美術館をはじめ、伝統的な建築様式を誇る街中の建物や教会など、すべてが美しく見え、とても充実したものになりました。世界的に著名なダヴィンチ、ラファエロ、レンブラントなどの作品も展示されていました。今まで美術にはあまり関心がなく日本でも美術館に行ったことはあまりないくらいなのですが、作品をどう思うかに正解はないことがアートの良さだと考え、自分なりの解釈でゆっくりと時間をかけて館内を散策していました。教会など街を巡るツアーでは宗教的な背景をもっと知りたいと思わせてくれる内容でした。
旅行の前日には友人宅でバースデーパーティーがあって、翌朝には出発で旅行の準備もせず、さらに初めてホームパーティーに参加したので少々ビビっていましたが、友人宅のシェアスペースには20人ほどが集まっていて、お酒を飲みながらたくさんの人と話すことができたのでとても楽しかったです。ちょうどお酒を飲み、酔った状態で英語は話せるようになるのかということを試してみたかったので実行してみましたが、ただすごく積極的になっただけで文法はぐちゃぐちゃで自分でも何を言っているかわからなかったという結果が得られました。ただ伝わってはいたので今後は素でこの積極性を出せるようにしたいです。

2017年10月4日

ラッペンランタに来てから早一ヶ月が経過し、日照時間もだいぶ短くなりました。9月初旬では21時ごろまで明るかったのですが、今は18時を過ぎると完全に暗くなってしまいます。また自然豊かなフィンランドでも紅葉が始まり、気温も低下し朝晩は一層冷え込みが増しています。
 今回私は理工学系のコース(Engineering and technology courses)での留学で、交換留学生は基本的にBusiness Administration(ビジネス), Energy Technology(エネルギー), Environmental Technology(環境), Mechanical Engineering(機械工学), Electrical Engineering(電気工学), Computational Engineering(計算工学), Industrial Engineering(生産工学), Computer Science(コンピューターサイエンス), の中から一つの専攻を選択し留学することになります。LUT(Lappeenranta University of Technology)では専攻を見て分かる通りビジネスと理工学系に特化した大学で、この中でも私の専攻はEnvironmental Technologyで環境を軸にBioenergyとEnergy resourcesのレクチャー形式の授業を今学期は履修しており、バイオエネルギーや再生可能エネルギーについて学んでいます。どちらの授業でも核エネルギーについて触れることがあり、“日本”や“福島”という言葉を頻繁に目にします。日本は世界でも優れた効率的な資源利用がなされている国として知られていると同時に、福島第一原子力発電所の事故は世界に影響を与えるほど大きな事故とされており、原子力エネルギーを利用しているフィンランドでは原子力の危険性や利用に関して様々な議論が繰り広げられ、重要視されていると感じました。 また、交換留学生は科目によっては履修制限が設けられており履修できない科目も少々ありますが、上記の専攻の科目を自由に履修することができます。さらにこれらの専攻に加えて語学の授業が選択可能で、英語をはじめ、フィンランド語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語と様々な言語を学ぶことができます。いくつかの語学の授業はオンラインクラスと言ってパソコン上で与えられた課題をこなしていくものもあり、オンラインクラスの中でもグループディスカッションや、ランダムにパートナーを組みフィードバックを行うものもあります。
 専門の授業でも語学の授業でも周りの生徒の授業に対する積極性は私からすると日本ではあまり見かけないような光景で新鮮に感じ、時には生徒と教授のディスカッションで授業が終わることもあります。もちろん留学生は英語を使い、何か彼らの興味のあることを学びに来ているので、必要であれば英語以外の言語でコミュニケーションを取り、情報共有をしていますが、実際ほとんどがそうで、普段私が学校に行って授業以外で耳にする言語は学部生であるフィンランド人同士のフィンランド語、隣国のロシアから多数訪れる留学生のロシア語、他はヨーロッパ圏から訪れる留学生のスペイン語やフランス語などで、先月のレポートにも書きましたが街中の看板やあらゆるものがフィンランド語で書かれていて、英語に触れる機会が思ったより少ないと感じました。しかし、これが英語が第一言語ではない国に留学するということなので仕方のないことですが、ある程度想定はしていたので、世の中の情勢を知るついでにニュースを見たり聞いたり読んだり、考え事をする時は英語でするようにしています。ひと月では当然かもしれませんが、いまだに講義を完全に理解することは難しく、自分なりに理解するため要所を押さえるようにしています。会話では必要最低限の事しか伝えられない状態ですが積極的に自分から話すようにはなりました。日本で勉強して身につけた英語力はほとんど通用しないと実感することもありました。
 留学では苦労することはたくさんあると思いますがもちろん楽しいこともたくさんあります。9月には友人たちとヘルシンキで観光をしたり、ESN(Erasmus Student Network)という学生団体が主催する国立公園でのハイキングに参加しました。ヘルシンキでは美しい街並みや駅周辺や港で開かれているマーケットでフルーツなどを食べ歩き、聖堂や教会が有名で様々な観光名所を巡りました。ハイキングでは森の中を歩いて、岩山を登り、バーベキューをしたりと、大自然に触れて心が浄化されました。このような機会を利用すれば必然的に多くの時間を会話に費やすことができて、自然に盛り上がることもあるので、今後もこのような時間を増やしていきたいです。
ヘルシンキの街並みとテンペリアウキオ教会です。教会では結婚式が行われていて、式の終了後に入ることができました。
ハイキングの道中の写真です。天気が良く気持ちよかったです。

2017年9月4日

ラッペンランタに到着し約1週間が経過しました。交換留学制度の派遣先大学としては最も北に位置し、そのために気温がとても低いです。私は8月の下旬に現地入りをしましたがその時の気温はすでに15℃を下回り、夜には気温が一桁になるほどです。また晴れの日が非常に少ないうえに天候が変化しやすく、小雨なのですが雨もよく降るので現地ではマウンテンパーカーを着ている人が多いです。
 実は出発前に一緒に行くはずだった友人にちょっとしたアクシデントがあり私はラッペンランタまで1人で行くことになりました。さすがに不安は隠せませんでしたが、この先そのようなことがたくさんあるのだろうと考えていた私は比較的冷静でいることができました。
 留学直前の時期になるとチューターと呼ばれる方が留学生5、6人に対して1人つくのですが、その方とSNSを通じて連絡を取り合います。寮に到着すると寮やオリエンテーションについての説明を受け、ルームメイトがまだ到着していないとのことなのでしばらくは1人で寮を使っていました。
4日間開催されたオリエンテーションでは大学の留学生に向けるコンセプトとして"OPEN YOUR MIND"という好奇心を持つことが大切だということをはじめ、文化や履修登録、キャンパスツアー、バスでラッペンランタの観光など魅力が存分に伝わるものでした。 ヘルシンキに着いた頃から感じていたのですがこちらの人々は英語をとてもうまく扱っていると感じました。ヘルシンキのホテルに宿泊した際に受付の方が話す英語がスーッと耳に入ってきたのが印象に残っています。私のチューターもフィンランド出身の方で オリエンテーション中にはいろいろお世話になりました。もちろん様々な国から留学してくる人がいるので訛りの強い人もいます。フィンランドでは公用語はフィンランド語となっていますが話す人が少ないために英語の教育は徹底されており、ほぼ全てのフィンランド人は英語も習得しています。オリエンテーションでは通常の学部生もいて、彼らは少なくとも英語、フィンランド語、スウェーデン語の3ヶ国語は話すことができ、ラッペンランタで見かける看板や食品などの売り物の表示などはフィンランド語とおそらくスウェーデン語でのみ書かれており、英語を学びにきている私としては苦労することの1つとなっています。
寮に着いた時にベッドのフレームはあったのですがマットレスがなかったので買いに行きました。それらしきものを見つけてこれでいいかと思ったのですが、小さいなと感じ、携帯の翻訳機能を使いフィンランド語を訳し商品名とサイズを調べたところ赤ちゃん用であることがわかり、危うく赤ちゃん用のマットレスで寝る羽目になりそうでした。大人用でもあるものは筒状に丸めてあり圧縮されているので、見た目ではよくわかりませんでした。 最初は拙い英語を話すのがとても嫌だったのですがそれが原因で友達もできなかったらもっと嫌だと思い、オリエンテーション中に行われるイベントには積極的に参加しました。
私事ですがオリエンテーション期間中に誕生日を迎え、それを祝ってくれたチューターを含むグループメンバーやイベントでできた友人もいるのですが、親友と呼べるような友人もできたらいいなと思い、今よりも交友関係を広げ、深めて行きたいです。 来週から授業も始まるので頑張って行きたいと思います。
大学の写真です。