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学長ブログ

2024.2.21

第34号 今年の日大文芸賞の授賞式に出席して

 令和5年12月6日、日本大学会館で開催された日本大学新聞社主催の第39回日大文芸賞の授賞式に、出席いたしました。
 日大文芸賞の応募資格は、日本大学に在籍する学生、教職員及び卒業生であることです。今回は48編の作品の応募がありました。審査の結果、日大文芸賞は三枝 美穏子さん(2014年、芸術学部文芸学科卒)の「この声で、この言葉を」、優秀賞は宮田 彬さん(芸術学部文芸学科4年)の「元カレゾンビDIY」が、佳作は米山 真由さん(芸術学部文芸学科4年)の「アリジゴクの飛翔」、金岡 雅文さん(1997年、経済学部経済学科卒)の「れぞんでーとる」、そして御手洗 紀穂さん(2014年、大学院芸術学研究科文芸学専攻博士前期課程修了)の「観る」でした。受賞者5名のうち、現役の芸術学部文芸学科の学生が2名です。執筆には非常に大きなエネルギーを必要としますので、創作への熱意に感動しました。私も各受賞作品を読ませていただきました。
 「この声で、この言葉を」は共同生活する若い女性同士が喜びを語る内容で、「元カレゾンビDIY」は若い女性が元恋人と共にゾンビ化した人々から逃げるという不思議な内容でした。「アリジゴクの飛翔」は中学時代の同級生に嘘をついていたことに悩み、やがて会話を通じ自己と向き合っていく内容が、「れぞんでーとる」は離婚し仕事も辞めた男性が故郷で生活する中での出来事が、「観る」は作家志望だった若者が、AIチャットボットによる仮想世界に導かれる話が描かれていました。
 作品に共通する点は、現代人の日常生活様式、すなわち考え方や生活の実態が描かれているところです。ただ、いずれの作品も場面展開が早いので、昭和18年生まれの私は、なかなか主人公の行動についていけませんでした。いずれにしても皆さんの平素からのたゆまぬご努力と、それを文章化する熱意に感服いたしました。今後も著者の皆さんが、さらなる成長を遂げられ、それぞれが目的とする頂点に到達されることを期待しております。
 審査に当たられた三田 誠広先生(芥川賞受賞)、増田 みず子先生(泉鏡花文学賞受賞)、楊 逸先生(本学芸術学部教授・芥川賞受賞)、武内 佳代先生(本学文理学部教授)には、お忙しい中、ご協力を賜りましたことを感謝申し上げます。
 学長ブログ第6号(2022年10月27日付)でもお伝えしましたが、来年は皆さんも是非執筆に挑戦し、日大文芸賞を目指してはいかがですか。
 
日本大学学長
酒井 健夫