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宮本武蔵 幻談 二天光芒

著者は直木賞作家で、本学学祖の生涯を描いた『剣と法典 小ナポレオン・山田顕義』でも知られる。大正十年秋、貨客船で渡欧する斉藤茂吉が、アララギ同人から「旅のつれづれに」と手渡された宮本武蔵遺蹟顕彰会の編纂本をひもときながら、武蔵の事跡を追う。吉岡一門との対決、巌流島の決闘から、その後の武蔵までを克明に描くとともに、武蔵をめぐる虚実についての興味深い解説書ともなっている。

武蔵伝とは別に、昭和四年、菊池寛が雑誌に寄稿した、古今の英雄豪傑・剣豪の中で「誰が一番強いか」の随筆をめぐる論争を紹介。武蔵派の菊池寛と、反発する直木三十五、小次郎派の茂吉らとの激論が、テンポのよい筆運びで展開され、当時の文学者らの「剣豪」に対する思い入れが、こっけいなほどに分かる。巌流島ならぬ「外野席の戦い」を見物するような面白さがある。

書籍名 宮本武蔵 幻談 二天光芒
著者名 古川薫・著
月号 2003年秋季号 No.97
価格 571円(税別)
出版社情報 東京都文京区音羽1-16-6、光文社